やめよ!徳山ダム No.55(2003.12.08)


徳 山 ダ ム 裁判 判決 12月26日(金)

第一審(行政訴訟・住民訴訟)9:45 am

― 岐阜地裁に結集を ―

傍聴の抽選があるかもしれません/お早めにお集まりください

 11月17日に、徳山ダム裁判第1審判決(行政訴訟&住民訴訟・同時) の言い渡し日の連絡がありました。結審(行政訴訟=02年12月25日、住民訴訟=03年3月26日)から長かったこと。その間に公団が40%UPという事業費大幅増額を発表し、徳山ダム事業を巡る世論の動向も大きく変化しました。

8月の水公団発表以来、名古屋市を中心とする東海地方では2〜3日に一度は新聞に「徳山ダム」が載ります。大見出し記事も沢山あります。しかし首都圏など遠くの地域では一行も記事にはならない。この情報「段差」をどう克服したら良いか、悩んでいます。
毎日々々「動きがある」中で、この「やめよ!徳山ダム」を編集・印刷・発送する時間もなかなかありません(発行が間遠になっています、すみません)。インターネットをご利用出来る方は当会・事務局ホームページ  http://tokuyama-dam.cside.com/ をご覧下さい。

 現行の事業実施計画上の事業費2540億円の残りは90億円ほど。事業費増額のための一連の手続きを済ませていない以上、(8月27日に水公団が図々しくも概算要求した)180億円の予算は組めないはずです。来年度予算・財務省原案が内示された直後、「御用納め」の日に徳山ダム裁判の第一審判決が出ます。判決の「中味」に注目です。(在間弁護団長による行政訴訟の争点解説を、上記HPに載せました)
 判決後、弁護団が判決書きを手分けして分析し、11時から弁護士会館で報告集会(兼記者会見)を開きます。そのあと昼食をとってから、岐阜県に申し入れを行います。

<原告の皆様へ> 裁判は確実に控訴審に移行します。引き続き原告となって頂きたく、お願い申し上げます(そう遅くない時期に委任状提出をお願いすることになります)。
<読者の皆様へ>  徳山ダム建設中止を求める私たちの運動はまだまだ続きます。徳山ダム裁判も間違いなく最高裁まで行きます。物心両面ともに、変わらぬご支援のほど、お願い申し上げます。

徳山ダム事業費 違法な予算を許すな

 徳山ダム事業費増額のためには、事業実施計画を変更しなければなりません。そのためには利水者(岐阜県・愛知県・名古屋市)の費用負担の同意が必要です。その協議の中で利水容量を変えたり、利水から治水への振替をするなら、フルプラン変更(木曽川水系水資源会開発基本計画・全部変更)が必要です。しかしフルプラン変更の基礎となる各県の需給想定調査もまだ済んでいません(「施設実力調査」なるいかがわしいものも調査作業中とか。要するに基礎資料もまだ揃っていない)。
 それなのに国交省中部地整は「徳山ダム事業継続」「事業費大幅増額」を前提とした(現行事業費2540億円を超過する)多額な予算を来年度予算として要求しようとしています。11月30日、国交省中部地整は急遽「事業評価監視員会」を招集して「(徳山ダム計画の変更の可能性は大きいが、その内容の検討なしに)事業費増額のみを切り離して審議」させ「1010億円増額を960億円に圧縮するという水機構の説明を了承」させました。それをお墨付きとして予算要求をしてしまおう、というのです。
 さらに中部地整は「横山ダムの灌漑(かんがい)容量を徳山ダムに振り替え、かつ徳山ダムも横山ダムも洪水調節容量を増やす」という、一見「自治体
においしい」(新規利水の容量を減らして利水者の負担を相対的に小さくする)案を出して利水者の費用負担同意を釣ろうとしています。しかし、それは「徳山ダムと横山ダムの洪水調節効果 約1900m3/s」だとして説明されてきたこれまでの「揖斐川治水計画」を変更するものですから、97年改正河川法の手続きで河川整備基本方針―河川整備基本計画を策定するべきではないでしょうか?(地整の「案」で予算要求までやってしまうなどもっての他。)「河川法とは私たち河川管理者のこと」(近畿地整)「河川法を適用するかどうかは我々河川管理者が決める」(木曽川上流工事事務所)とポロっと本音がこぼれる国交省河川局のことだから、平気で「それらの手続きは必要ない」と言うでしょうが、到底、認めることはできません。 
 「河川は誰のものか―」という市民側の問いに対して、96年当時、河川局は「河川は国民及び流域住民のものです」と答えて河川法改正を行ったのです(「環境重視」「住民参加」という心地よいお話を耳タコで聞かされました)。しかし、今、あちこちの地整で「河川は河川管理者のもの」という逆行・居直りが続きます。これを許してはなりません。


10月〜12月にかけての動き  ― この間の動きを簡単にご紹介します ―

☆中部地整事業評価監視委員会(10/9,11/30,12/10)

 10月6日、「やめさせる会」は事業評価監視委に「徳山ダム建設工事は凍結すべしという結論を取りまとめよ」との「意見書」を提出。10月9日の事業評価監視委では事業費増額に批判続出。結論持ち越しとなる。
 11月3日、事業評価監視委が現地視察。委員から質問さえ出ず。
 11月28日、「やめさせる会」は11月30日の事業評価監視委に「水機構に増額幅圧縮を要求することのみで事業継続を許してしまってはならない。中部地整の方針を追認するな」という“お願い”を提出。11月30日の事業評価監視委は、960億円増額を了承。

☆愛知県交渉(「やめさせる会」)

 10月8日、「やめさせる会」、愛知県に対し「徳山ダム事業費増額の費用負担同意をするな」「徳山ダム事業から撤退せよ」の申し入れ行動。担当者(知事部局)は「渇水のときに足りなかったら困る」の一点張り。費用−水道料金等については企業庁が考えることで知事部局が考えることではない、と。この辺りに根本的な「間違い」がある。
 11月4日、愛知県知事定例記者会見で、神田知事が初めて(徳山ダム事業に参画してから初めて)導水事業に言及。「数百億円かかる」と、問題「解決」の困難さを吐露。
 12月2日には「長良川河口堰で余っている工業用水の水道水への転用」を示唆(愛知県は「長良川河口堰で確保した工業用水の需要は発生する」と主張して、3月にその主張を認めた第1審判決の“勝訴”確定したばかり)
 12月19日(金) 午前に再交渉へ。(10時10分愛知県庁本庁舎ロビー集合)

☆岐阜県交渉(「中止を求める会」)

 8月28日に引き続き、10月22日に岐阜県と話し合いをもった。主に富樫幸一氏(岐阜大教員)による水需要予測の在り方(これまでの岐阜県予測の批判も)のレクチュア。その際にフルプラン需給想定調査の数字が固まる前に再度話し合いの場を持つよう強く求め、後に11月27日という日を設定して要求したが、岐阜県は11月25日に「計画に対する庁内の合意が形成されておらず、未成熟な数字を公開すれば不当に混乱を生じさせるおそれがある」として拒否。当会として抗議書を出す。

☆利水者・2県1市で一斉監査請求(前号参照)

 10月17日、「名古屋市民オンブズマン」らとともに、徳山ダムの事業費追加を求められている岐阜県、愛知県、それに名古屋市の監査委員に対し、これに応じないよう勧告することを求める住民監査請求を行った。岐阜県の監査請求者は120名。名古屋市の請求者は42名、愛知県は74名と、2県1市合わせて236名の大型の一斉「住民監査請求」。
 11月5日に名古屋市監査委は意見陳述会を開いた(岐阜県、愛知県は開かず)。11月18日に名古屋市と愛知県が、21日に岐阜県が「却下」。理由は少しずつ異なるが「違法性が具体的に適示されていない」といった入り口論で「却下」。入り口論で争うのはこの事業費増額問題にとって余り意味がない、内容的には、徳山ダム裁判「本体」の控訴審でも展開しうる、などの意見が多く、住民訴訟提訴は見送り。

☆総選挙への働きかけ(「やめさせる会」)

 10月15日、総選挙の小選挙区立候補予定者(愛知1〜10区。岐阜1〜3区)に公開質問状を発送(21日締め切り。)42人中27人から回答を得た。政党別で回答数を見ると、自民党は回答者ほとんどなし(1/11)、保守新党は1/3、(回答した1人は落選。回答しなかった海部・江崎は当選後古巣の自民党に再入党)、民主党は大体の候補者が回答(10/13。11人が当選−明確な回答者のうち7人当選−) 社民党は1/1(落選)、共産党は全員が回答(13/13。全員落選) 無所属は1/1(落選)。回答者27人中25人までが「事業費増額に問題あり」とし、24人は「凍結」「ただちに中止」と回答した。
 11月2日、名古屋市の繁華街である栄・三越前で「徳山ダムは要らない!投票に行こう」と街頭宣伝。
 11月25日「どうする?徳山ダム−マニフェスト選挙の総括−」を開催。特別国会の予算委員会日程と重なり、予定通りの進行にはならなかったが、問題点を適示し、後の行動を呼びかけることはできたと考える。

☆露骨・大規模な自然破壊を展開する徳山ダム建設工事に質問書(「中止を求める会」)

 事業評価監視委の現地視察の日、当会のホームページに以下のような投書があった。

 私は今徳山ダム…で仕事をさせてもらっている作業員です。…野生の猿、鹿、うさぎなどダンプにひかれても知らん顔。最低だ!何が環境保全だ!破壊しまくってる!こんなダム中止だ!
 ダム評議会と報道関係の方が現場に視察に来たけどただJV職員と公団職員の話を聞くだけで質問すらしない!その時間だけダンプや車の規制をかけいかにも環境に配慮して作業してますみたいな。いつもなら粉塵を巻き散らして走るダンプ、違法燃料(重油)で真っ黒な排気、これが環境を守って作るダムか!

 11月8日、当会運営委員と大学院生らが現地を訪れ、「真っ黒な排気」とともに「粉塵を巻き散らして走るダンプ」が猛スピードで一般の人の車を追い立てて走り回るのを現認。
 11月11日、水機構徳山ダム建設所環境課長宛に夜間照明の件と併せて質問書を提出。
12月5日付けで「法定車検に合格した車両を使用」「従来より制限速度の遵守を指導」と空とぼけた「回答」を寄越した。
 クマタカが衰弱死している問題は相変わらず素通り。


「徳山ダム建設中止を求める会」は、皆さんの支援で活動を進めています


 “第二次・川戦争?”

 国交省中部地整の法的裏付けなしの徳山ダム「事業費大幅増額前提」予算要求には、研究者の間からも「そこまでやるか」という声が出ています。しかし「そこまでやる」のは独り中部地整だけではありません。
 『肱川流域委員会』強行―刑事告発(*)のみならず、細川内ダム計画や吉野川可動堰計画復活を目論む四国地整を先頭に、川辺川ダムで悪あがきし続ける九州地整、淀川水系流域委提言無視の姿勢を取り始めている近畿地整、さらに八ッ場ダムの「120%UP増額」を発表した関東地整・・・。
 この一連の反動を「第二次・川戦争」と呼ぶ人がいます。さしずめ「第一次・川戦争」は、「95年河川審答申及びダム審、97年河川法改正」あたりで休戦ラインが引かれたというべきでしょう。96年当時、建設省河川局は「環境重視と住民参加の新河川法」(97年河川法改正)を、積極的に説明し歩いていた・・・。
 休戦ラインを越えて攻め込んで来たのは河川局、と私たちは考えます(河川局は「脱ダムとか唱えて、河川局の思惑の範囲を超えた―休戦ラインを越えたのは市民の方」と考えて押し返して来ているのかもしれない)。
 河川を私たちの手に取り戻すため、税金の使い道を私たちが決める(という当たり前のことを実行させる)ため、全ての人が尊厳ある生を選択する条件を未来世代に手渡すため、全国の心ある市民とともに歩んで行く決意です。よろしくご支援下さい。

(*) 国交省四国地整局長と国交大臣に当会としての抗議書を発しました。
 11月23日に愛媛県大洲市(『肱川流域委員会』―山鳥坂ダム問題の現地)で開催された第10回水源連総会で採択された決議文の国交省送付も行いました。

☆ 「徳山ダム問題」の「出前講座」。学習会を設定して頂ければ講師派遣します。
 当会又は「徳山ダムをやめさせる会」にお気軽にご相談下さい。

☆ 来年会費の早めの納入あるいはカンパを頂けると幸いです。

「やめよ!徳山ダム」 徳山ダム建設中止を求める会 代表:上田武夫

編集責任:近藤ゆり子   事務局 〒503-0875 大垣市田町1−20−1

郵便振替:00800-7-31632    年会費 2000円



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