徳山ダム建設中止を求める会・事務局ホームページ


徳山ダム裁判弁護団声明文


声 明 文


 本日、岐阜地方裁判所において徳山ダム建設の適否を問う行政訴訟(土地収用法の事業認定取消訴訟・収用裁決取消訴訟)及び住民訴訟(公金支出差止等)について判決が言い渡された。結果は、原告らの請求をすべて棄却及び却下するという極めて不当な判決であった。
 上記訴訟、特に行政訴訟において、原告・弁護団は、徳山ダムは水資源開発公団(現水資源機構)が建設する水資源開発施設のダムであるから、水資源開発つまり新規利水の必要性がなければ事業の必要性が認められないとして主張し、その立証をしてきた。これに対して、被告は、徳山ダムの建設目的として「新規利水」のほかに、「洪水対策」「渇水対策」「発電」があり、これらを総合考慮して事業の必要性は判断できると主張してきた。
判決は、新規利水の必要性においても、洪水対策の必要性においても、被告の言い分そのままの行政追従のものであり、法律と事実のみに基づいて審判すべき法の番人としての裁判所の使命と職責を放棄したものである。
 木曽川水系においては、岩屋ダム、長良川河口堰の開発水の多くが未利用で、水余り状態である。そのため、政府においてすら、徳山ダムを木曽川水系水資源開発基本計画(フルプラン)の2000年目標年次の枠外に位置づけざる得ず、徳山ダムの必要性を根拠づけられなかった。本件においては原告らは、木曽川水系における過剰な水余りの実態を明らかにした。また、徳山ダムで開発される水道用水も工業用水も需要がないこと、被告や水機構の需要予測は誤っていることを明らかにした。新規利水の必要性がなく、水資源開発施設である徳山ダムは事業の必要性がないことが明らになった。岐阜地裁の判決は証拠で明らかになった事実を意図的に無視した、行政追従のものである。
本件で、原告らが明らかにした徳山ダムの開発水に需要がないことが明らかになっている。裁判所さえも、付言として、現時点においては、公団が行い建設大臣が是認した本件水需要予測よりはウォータープラン21の水需要予測がより合理的であるといい、早急に水需要予測を見直し、最終的な費用負担者である国民及び県民の立場に立って、水余りや費用負担拡大等の問題点の解決に真摯に対処することが望まれると述べている。
 今、徳山ダムは、事業費2540億円を使い切り、約1000億円の追加が必要とされ、木曽川水系水資源開発基本計画(フルプラン)の改訂作業が行われているが、徳山ダム開発水の需要がないことが明らかになってきている。もはや、水資源開発施設である徳山ダムは事業の根拠を失っている。裁判所さえも付言としてこれを認めざるを得ないのである。水資源開発施設の事業の廃止規定が整備されており、フルプラン改訂において、徳山ダム事業は廃止されるべきである。そのうえで、洪水対策などについては、どのように被害防止をするかについて、流域住民による抜本的な議論に基づく意思形成を情報公開のもとで進めていくべきである。
 徳山ダム訴訟弁護団は行政追従の本件判決を許さず、直ちに控訴すると共に、徳山ダム事業の中止、破壊されつつある徳山の自然の回復を求めて戦い続ける決意である。

2003年12月26日

徳 山 ダ ム 弁 護 団




徳山ダム裁判原告団声明文


声  明


2003年12月26日
徳山ダム裁判原告団

 本日、岐阜地方裁判所において徳山ダム裁判3訴訟(行政訴訟=土地収用法の事業認定取消訴訟・収用裁決取消訴訟、住民訴訟=公金支出差止等)の判決が言い渡された。私たち原告の請求をすべて棄却及び却下するという極めて不当な判決であった。
 内容的にも、原告側の主張の要点を外し、ほとんど被告の主張を無批判に肯定・引用しており、司法の行政追従姿勢が露わになったものである。

 上記訴訟、特に行政訴訟において、原告・弁護団は、徳山ダムは木曽川水系水資源開発基本計画(フルプラン)に基づいて水資源開発公団(現水資源開発機構)が建設する水資源開発施設のダムであるから、水資源開発つまり新規利水の必要性がなければ事業の必要性が認められないとして主張し、被告側の水需要予測のやり方を細部にわたって実証的に批判し、徳山ダム開発水の供給が予定される地域にその需要は発生しない−ゆえに料金収入からダム建設費を回収することは不可能であることを精緻に立証してきた。この議論に追い詰められた被告側は、結審後に「朝シャン・ガーデニングで水需要が伸びる」という真面目な議論に値しない「補充書面」を出したほどである。
 しかし、裁判所は、最重要争点(立証にも相当時間をかけた)である水需要予測を巡る精緻な議論の判断を避け、「本件水需要予測を是認した建設大臣の判断が著しく不合理だと断定することはできないというべきである。したがって、建設大臣の判断に裁量の範囲の逸脱及び裁量権の濫用はない」とした。
 だが、その裁判所でさえも、付言として「当裁判所は、公団の本件水需要予測について建設大臣が平成10年12月にこれを是認した判断が、当時においては建設大臣の裁量の範囲を逸脱するものではないと判断するにすぎないものであり、現時点においてはウォータープラン21の水需要予測の方がより合理的であると推認される。したがって、独立行政法人水資源機構としては、早急に水需要予測を見直し、最終的な費用負担者である国民、県民の立場に立って、水余りや費用負担拡大等の問題点の解決に真摯に対処することが望まれる」と述べている。

 現在、水機構は徳山ダム建設事業費2540億円をほぼ使い切り、960億円の事業費増加が必要であると言っている。事業費増加については唯一岐阜県を除く関係県市、発電事業に関わる電源開発(株)及び中部電力(株)は強い難色を示している。
 その一方、フルプランは現在改訂作業中であるが、工業用水は勿論、まだ需要が増加するとされてきた水道水さえも需要増は見込まれず、既開発の大量の「未利用」水すら使う当てがないことが明らかになってきている。もはや、水資源開発促進法に基づく水資源開発施設である徳山ダム事業はその根拠を失っている。このことは、裁判所さえも付言としてこれを認めざるを得ないのである。フルプラン改訂において、徳山ダム事業は廃止されるべきである。

 揖斐川流域の洪水対策等については、改正河川法に基いて、即ち流域住民による十分な議論に基づく意思形成のもとで、河川整備基本計画等の策定を進めていくべきである。(1968年工事実施基本計画にいつまでも拘泥するべきでない。まして、徳山ダムの洪水調節効果をより大きく見せかける中部地整の「案」をもって、揖斐川治水計画の実質的変更を目論むなど論外である。)

 私たち徳山ダム裁判原告団は、行政追従の本件判決を許さず、直ちに控訴すると共に、徳山ダム建設の中止、徳山の森の再生を求めて、あらゆるフィールドで闘いを展開する所存である。
 全国の心ある市民に、さらなるご支援をお願いしたい。

                             以上

2003.12.26


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