やめよ!徳山ダム No.64(2005. 7.12)


あらゆる意味で不当な試験湛水開始強行を許さない

 地権者の財産権侵害/生態系破壊/湛水誘発地震については未解明


<6月8日、工事現場へ>
 6月8日、水資源機構徳山ダム建設所の熱心な招きにより、上田代表以下4名で徳山ダム工事現場の中を見学しました。stop construction! stop! now.JPG

普段は近づけない工事用道路を、ダム直下から登って、現在の堤体(約9割出来ている)頂上を歩き回りました。改めて自然破壊の規模の大きさを実感。「怒り」をも通り越すほどです。徳山ダム建設所の車で、キャンプ予定地の「塚」まで行きました。「塚」で「財団ふじはし」の環境パトロールの方と遭遇しました。冗談交じりに「自分たちも『中止を求める会』に入りたい」と。「不要でおかしなダム」であることは、誰の目にも明白になってきています。

<6月20日、岐阜県交渉>
岐阜県側=8名(水資源課、河川課、砂防課、上下水道課、自然環境森林室、廃棄物対策室) 当会側=5名 【ア〜スは事前質問  < >はその場での質問 →の先が岐阜県の回答】

1.使うあての無い水/利水負担金はどうするか
ア.水道水分の償還 イ.工業用水道事業設置の目途はない ウ.専用施設計画は? → 水道水:岐阜県が一般会計で立て替え、需要が発生した後、14市町が負担する。渇水対策と安全な水の確保。@地盤沈下、A地下水汚染、B水源の多元化。工業用水:徳山ダム完成により治水安全度が向上し、企業誘致が進む。専用施設は検討して参りたい。

 “恒例”  徳山村キャンプ  8月20日(土)〜21日(日)

もし06年春から湛水が開始されれば、もとの集落跡での最後のキャンプとなっしまいます。是非ご参加下さい。
20日(土)13時 JR大垣駅北口集合出発。21日(日)の午後の早め帰着。参加費:3000円〜3500円程度(子供は無料)。食事・飲み物は準備します。参加者各自が用意するもの:寝袋or毛布。長袖シャツ。雨具など。<できるだけ> my箸、 myコップ、my皿。また、テント、シートがあれば。お申込み・お問合せは事務局へ。

2.治水ダム? 流域住民の安全確保の方策について
エ.より危ない治水計画/河川法16条の2の僭脱 オ.岐阜県の治水予算の中で、徳山ダム治水負担分が突出している。他のことが「わり」を喰っていないか? 荒崎地区の水害対策は?  → 徳山ダム+杭瀬川・牧田川改修で35cmの水位低下効果が得られる。2007年度に洗堰の1.05cm嵩上げを行う。 カ.徳山ダムの有無と荒崎地区の安全度は連動しない。「住宅地に浸水させない措置」を優先すべきでは? キ.牧田川圏域河川整備計画の見直しは? 計画策定時に住民意見の反映が不十分(河川法16条の2の趣旨の軽視・無視) → @2002年11月〜12月にかけて地元説明会6回行った。<水害被害地区住民への地元説明会は、河川法第16条の2第4項の趣旨とは異なる> A7万3000世帯にアンケートを配った。<配布範囲は?配布方法は?回収方法は?回収率は?> B参加者は公募でブロック会議を4回行った。<公募の方法は?範囲は?> <昭和30年代からずっと問題になっていた。輪中地帯の「地元」同士の話し合いの難しさを「徳山ダムさえ出来れば」とすり替えてしまったツケが、今出ているのは? 本質的な話し合いの場を>

3.湛水開始前に山積している問題
ク.水機構の不祥事問題については? ケ.公有地化事業は進んでいない。公有地化できないまま湛水するのか? → ダム周辺の崩壊防止と豊かな水源地確保のために、水機構と協力して行う。地権者の皆様のご理解を頂きたい。<岐阜県は地権者との交渉もしていない。公有地化未了なら湛水出来ないのでは?門入地区から正式な拒否通告があったが?> → 確かに公有地化事業の主体は岐阜県だが、湛水については水機構の問題で岐阜県は知らない。
コ.大型猛禽類(特にイヌワシ・クマタカ)の保全策は? → 専門家の助言を得て、繁殖期には騒音を出さない、など。<今問題にしているのは、工事中の保護策のことではなく、湛水という自然大改変に対しての保全施策。岐阜県としての責任は?> → 権限がないから責任もない。岐阜県が担当するのは鳥獣保護法の範囲のみ。<5月末〜のクマタカ育雛失敗について> → 巣に戻すのが原則。<巣から落ちた後の対応の問題ではなく、育雛失敗例の把握・分析を問題にしている。クマタカは、絶滅危惧種なのである> → 自分は初めて知ったが、雛がトビに襲われることも自然現象の一つ。仕方がない。<雛がトビやカラスに襲われることがあることは常識。具体例の分析から、保護策を導き出すべき。年間数千万円をかけて、当該ペアも観察し続けているはずなのだから、分析する資料はあるのでは?>
サ.水没地に埋め捨てられた廃棄物 → 水機構が旧徳山村住民から聴き取りをする
シ.保安林の無断伐採について ス.徳山ダム工事関連する死傷事故が多発している。
 追加質問@「知事が変わったが、徳山ダムについて姿勢は変わったか?」→現段階で特に変わっていない。A「"総点検"の対象に徳山ダム事業も入っているか?」→ 一般的に全部の事業が対象となっている。(中日新聞記事参照)


岐阜県知事 古田 肇 様           2005年6月20日

質問並びに要請書(抄)

そもそも「湛水」は法的・道義的に「可能」なのでしょうか?
湛水開始前に、「やるべきこと」「説明すべきこと」「解決すべきこと」が山積みされていることは明かです。その一切に頬被りしたまま、問題全てをダム湖底に沈めてしまう、ということでしょうか?
岐阜県として「湛水強行はしない、徳山の自然をこれ以上壊しないで守る」という姿勢の表明を要請いたします。
 なお、度重なる水害に遭っている荒崎地区−大谷川右岸「洗堰」問題−については、当該地域の河川管理者たる岐阜県知事において、早急に有効な施策を講じることを要請します。


<6月24日、国交省中部地整交渉>
中部地整側:流域調整官、河川環境課(調整係長)、河川環境課(技官) 当会側:8名


国土交通省中部地方整備局長 大村 哲夫様    2005年6月24日

要 望 書(抄)

今や、利水や発電という「目的」には完成を急ぐ理由は皆無、ただただ「揖斐川の洪水時に本川の水位を下げる−防災」のみが強調されています。しかし、防災という1点からも、「徳山ダム完成を急ぐ余り、却って危ない」という思いを禁じ得ません。
公有地化事業は進んでいません。ダム湖の奥に権利を有する地権者の意向を無視して湛水は出来ないはずです。
大型猛禽類保護策(湛水開始という不可逆的な自然大改変時以降の)は、未だに「検討中」で具体的な目処も立っていません。
貴職に対し、以下のことを要望します。
(1)湛水を強行しないこと。
(2)生物多様性国家戦略等の国際的責任に合致するよう、徳山の自然をこれ以上破壊しないで守るという責任を果たすこと。
(3)ダムという「お金がかかるわりには効果の少ない」「自然大破壊」である治水政策からの転換を、もっと早く進めること。
(4)河川法第16条の2の趣旨を活かした手続きで揖斐川水系の河川整備を行うこと。


☆ 治水ダム? 流域住民の安全確保の方策について
 「横山ダムと連携して運用することにより、基準地点万石流域面積の約4割の面積の洪水調節ができる。大変効果的な洪水調節計画である」「工事実施基本計画を変えるものではないから、河川法の僭脱にはあたらない」「(治水特会の項の間の移用について住民に説明したか?)全体として工期が遅れるものではないから、特に説明する必要はない」

☆ 湛水開始前に山積している問題
<水機構不祥事の問題>「タテマエですが、独立行政法人は独立した責任において事業を執行するものです」「肩代わりは遺憾」「(保安林無断伐採)森林保全は重要」
<公有地化事業>「公有地化事業が完了していなくても、湛水する、しないにつき直接的な制約となるものではない。間接的制約にはなりうるが」「水資源機構・岐阜県が、湛水開始までに事業を完了するものと認識している」
<大型猛禽類の保全策−生態系保全>
(生物多様性条約等の国際的な責任が「国」にある、ということは否定できず、「宿題」)
<湛水による誘発地震>
「ダム湛水で大規模な地震が誘発されるとは考えていないから、調査・研究もしていないし、答えることがあるとも考えていない」

☆ その他
Tさん「導水路検討会の資料は?この検討会の意味は?」→「資料はHPに載っている。検討会は国交省が主宰している。情報交換を目的とするもので、結論を出す、出さない、というものでもない」「愛知県などに導水路計画を早く作れと言われている」
Uさん、Mさん「地下水ビジネスについて。水は公のもののはず。一部の人がトクをし、売れない水の開発費用が住民につけ回されている。これは国交省の責任ではないか?」
→「地下水の規制の範囲内でやっていること。問題になるほどの量ではない」(「名古屋市水道局が頭を抱えるほどの量、大変な問題」という認識が全くないようで噛み合わない。)

<古田肇岐阜県知事発言/八地区会長会の申し入れ>
 6月28日、岐阜県の古田肇知事は、記者会見で「公有地化未了でも湛水は可能」と言明。(国交省中部地整は、不可能とは言っていないが、「可能であると言明」していない)。
 6月29日、旧徳山村内八地区の地権者団体代位表が、水機構に「現段階で公有地化は認められない」「試験湛水には会長会の了承を条件とすること」を文書通告。「強行する場合は『実力阻止』する決意がある」とほのめかした。


「徳山ダムをやめさせる会」 (共同代表:伊藤達也・在間正史)としての活動

<7月6日 記者レク>
   堰ゲート開放が長良川河口堰問題の全てを解決する
              〜長良川河口堰本格運用開始強行10年〜
 6月の「渇水騒ぎ」で「やっぱり長良川河口堰があると安心」という行政による世論 誘導がありました。1994年「渇水」のときは長良川河口堰を巡る論争の最中だったので木曽川の取水の在り方の問題について、いくつか大きな記事になりました。それをも資料に使いました。7月はじめに雨が降って、ちょうど6日に「節水解除決定」。取材を受けるタイミングとしては「ぎりぎりのセーフ」(TVカメラも入って)でした。

<4月29日 導水路問題現地見学会>
 木曽川水系の水問題の解決を誤らせる導水路事業について学ぶため、既に運用されている愛知用水と名古屋市上水道の導水路施設を上流から順に見学しました。20名以上の参加者を得て、充実した一日を過ごしました。バスの運転手さんから「勉強になって面白かった。またご一緒したい」と喜ばれました。


<徳山ダム裁判>

住民訴訟 = 7月26日(火)13時30分〜
行政訴訟 = 9月20日(火)13時30分〜
(名古屋高裁1F法廷:裁判所ロビーからでなく、建物西側から入ることになっています)


徳山ダム建設中止を求める会 代表:上田武夫
                      編集責任:近藤ゆり子


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