やめよ!徳山ダム No.58(2004. 5.19)

徳山ダム裁判控訴審第1回期日決まる

7月13日(火)10:00〜10:30 名古屋高等裁判所。是非傍聴を!
  控訴理由書(第一準備書面)

「先ず徳山ダム事業費増額ありき」のフルプラン(案)NO!
― 新洪水調節計画という治水計画変更は脱法行為だ ―
いますぐ徳山ダム建設工事を凍結せよ

 徳山ダムは事業費増額手続き(事業実施計画変更)がなされていないため、予算は従来の事業費(2540億円)枠いっぱいの93億円のみとなっている。水機構が工事を継続するためには、事業実施計画変更(利水者の費用負担の同意を要する)を早期に行わなくてはならない。本当は全く水は要らない利水者(岐阜県・愛知県・名古屋市)の同意をとるには「利水容量大幅削減→負担割合軽減」を行なくては無理。そこで国としては、木曽川水系水資源開発基本計画(フルプラン)の変更が必要になり、「先ず結論とその期限がある」というフルプラン改定が行われようとしている(5月12日に国土審議会水資源課発分科会木曽川部会で原案を承認。正式な水資源開発分科会でそれを追認し、閣議決定閣議決定に持ち込む)。新規利水を大幅削減(12m3/Sを6.6m3/Sに)するのに「現行計画のダムを造る」。それを「利水容量の治水容量へ大幅振り替え」で帳尻を合わせようとしている。

新木曽川フルプラン(案)を批判する

1.木曽川部会―水資源開発分科会の在り方の問題
1)結論と期限が先に決まっている
 「徳山ダム建設工事の追加予算獲得」のための、期限と結論が先に存在しており、なすべき議論がなされていない。
2)各県から出された需給想定調査票に目を通すこともなく、事務方の国交省水資源部の「概ね妥当」という判断に乗ってしまっている(そのため、専門家でありながら「2」の問題を見抜けない)。
3)これまでの需要予測が、大外れの過大予測であったことを認めているのに、その原因を究明していない。
4)「水源施設の実力」を持ち出すことは、これまでとは異なった前提に立つのであるから、水資源計画の在り方そのものを問わなければならないのに、その議論は飛ばされている。

2.フルプラン(案)自体の問題
1)「徳山ダムは必要」という結論を導くための数字操作が横行している
(例:「利用量」率の大幅減少を盛り込む、など。詳細は、「意見書」参照)
2)「近年の少雨化傾向で流況が変わった」として水源施設の実力を見直している(「当初計画の約60%の実力しかない」)のに、河川維持流量などの前提(各ダムの運用の在り方でもある)は見直していない(論理に均衡がとれていない)。

3.「新洪水調節計画」の問題
1)危険な計画である
 本川上流2ダムの洪水調節量を増加させることで、根尾川型洪水(02年7月洪水も根尾川型)に対応できるのか? 02年7月洪水が、もし1/100の降雨(395mm/2日)であれば、下流部で堤防決壊を引き起こすのではないか?
主張:「超過洪水は必ず起こる」ゆえ、流域対応、氾濫需要型(遊水池、越流堤、霞堤…ゆえに輪中堤も)の治水対策こそ必要。(森林の保水力向上のための施策も当然必要)
2) 改正河川法を逸脱する違法行為
 16条及び16条の2の手続きを全てネグレクトしたまま、事実上の治水計画変更を行おうとしている。事業評価監視委員会は、治水計画変更について「お墨付き」を与える機関ではない。国土審議会水資源開発分科会(木曽川部会)も同様。どちらも権限も能力もない。改正河川法の「目玉」である、透明性・公開性と住民参加が全く担保されず、説明責任もいささかも果たしていない(「97年改正河川法による河川整備基本方針・河川整備計画が策定されるまでの『みなし基本方針・整備計画』である現行の工事実施基本計画の範囲内である」と言い繕うだろうが、それは詭弁である。高水計画の背景にある『1968年9 工事実施計画参考資料』を見れば明らかである)。

「木曽川部会への意見書」抜粋[4月27日] 徳山ダム建設中止を求める会(代表:上田武夫)

 国交省中部地整は27日、徳山ダムに係る「3県1市の調整会議」を行い、利水者(岐阜県、愛知県、名古屋市)の「利水容量削減」を認めることで利水者負担の増額を抑える案を示した。同時に、3県市が返上した利水容量と電源開発(株)が返上する発電用水の容量を治水容量に転用し、併せて、徳山ダムの洪水調節容量の一部を、下流にある横山ダムの農業かんがい用の容量と入れ替えるという横山ダムを巻き込む治水等の計画変更(=「新計画」)を示した。
 これで、960億円の事業費増額を3県1市及び電源開発(株)に認めさせるということであろう。
 市民に開かれることのない行政同士の密室の談合をもって、徳山ダムについては何も知らされていない全国の納税者に広く負担を負わせるという形で事業費大幅増額問題に決着をつけようとする国交省・水機構及び3県1市当局の姿勢は許すことはできない。
 国交省中部地整は「揖斐川の洪水調節機能を従来計画以上に向上させることが可能となる」という。しかし、徳山ダムと横山ダムという本川上流部2ダムでは、根尾川型洪水(1960年8月洪水。大垣市荒崎地区に大被害をもたらした02年7月10日洪水もこの型である)では、その「大きな洪水調節機能」を発揮することはできない。1968年工事実施基本計画参考資料ではっきりと位置づけられている根尾川上流・黒津ダム計画を消し去って、無理に本川2ダムに大きな洪水調節効果を負わせる「治水計画」は危険極まりない。揖斐川流域住民を主体とした当会としては強い憤りを覚える。
 また国交省中部地整が個別徳山ダムの容量変更のみならず「新洪水調節計画」に言及する以上、河川法に基づく計画変更手続き(河川法16条及び河川法16条の2)が、当然必要となるはずである。
 97年改正の河川法は「住民参加・環境重視」を謳っている。環境アセスメントも実施したことがない(絶滅危惧種のイヌワシ・クマタカの保全策は立てられていない)、河川整備基本方針策定のための社会整備審議会(小委員会)も開催されていない、河川整備計画のための流域委員会の準備の動きすらない、住民意見の反映(16条の2第4項)など全く存在しない。ないないずくしのまま、密室の会議で治水計画を変更しようという河川法の僭脱行為は到底許すことはできない。
 河川法、事業評価制度(及び事業評価監視委員会)、水資源開発促進法(及び国土審議会水資源開発分科会)・・・どれをとってみても国交省は自ら作った法律や制度の趣旨を、自ら踏みつけ破壊している。
 国交省河川局が、鳴り物入りで宣伝していた1990年代の「河川局による河川行政の転換(河川法改正を含む」「環境重視・住民参加」「公開性・透明性を高めた公共事業」等は何だったのか? 「淀川モデル」(近畿地整淀川水系流域委員会)というアドバルーンを上げて見せた以外は、全て自らの手で押し潰し、ひたすら反動の道を進んでいるではないか。
 私たちは、歴史を逆行させる河川行政の反動を許さない。
 こうしている間にも、イヌワシ・クマタカを頂点とする徳山の自然生態系は脅かされている。巨大な人造湖が出来てしまえば、取り返しのつかない自然破壊となる。
 川は流域住民のものであり、広く全市民のものであり、国交省や関係県市の役人・首長のものではない。川を私たち市民の手に取り戻すため、全国の心ある市民の方々とともに私たちはなお闘いを続ける。
 全国の市民に対し、徳山ダム建設中止を求める私たちの闘いへのさらなる支持・支援を訴える。

☆8月21日、22日 恒例・徳山村キャンプ(詳細は次号で)
☆5月21日(金)大垣市と話し合いを持ちます(13:20 大垣市役所ロビー集合)


細川内ダムを止めた! 藤田恵さん(元木頭村長)
      参議院選挙(比例区)に「みどりの会議」から立候補予定

藤田恵さんのホームページより転載

 私は、徳島県の木頭村(きとうそん)村長として1993年から2001年までの8年間、「ダムに頼らない村づくり」を公約に取り組んできました。この間、建設省(当時)が同村に計画していた巨大ダム・細川内(ほそごうち)ダムの中止へ向け て、多くの「細川内ダム反対」の村民と共に全国的なご支援を頂きながら、2000 年には日本の行政史上、初めて中止を勝ち取ることができました。
 私はこの厳しい闘いの中から、全国各地で必要性が無く当然に多く地元住民が反対しているにもかかわらず、強行されようとしているダムなどが日本中に蔓延していることを知りました。
 この、国の財政逼迫の大きな要因にもなっている、いわゆる無駄な公共事業を中止するためには、まず国政での取り組みの重要性を痛感いたしました。さらに、最近の、狂牛病(BSE)、鯉ヘルペス、鳥インフルエンザ等のすべては環境破壊の問題であり、その原因は、大量生産、大量消費、大量廃棄に組み込まれた政治と経済、文化にほかなりません。
 これらを改めるには、ドイツをはじめEU諸国の「緑の党」や、「みどりの会議」のように今の「早く」「大きく」「高度に」から、地球は閉じた宇宙の一部でありすべての資源は有限なのですから、「ゆっくり」「小さく」「簡素に」へと、人間社会を自然との共生の方向へまず国政レベルで政策を転換することが先決であると確信しました。
 この基本政策を掲げるのは日本では「みどりの会議」のみであり、中村敦夫代表(参議院議員)をはじめ全国的な呼びかけ人やサポーターの皆様の熱意に押されて、国政へ向けた政治活動の重要性を痛感しております。
 私が必要だと考えている、当面の政治的な基本目標は下記の5点です。

○ 日本に初めて、環境政党をつくる。
○ 森林の再生、農林漁業再興へ向けて「農林漁業再生法」(仮称)の制定。
○ 川辺川ダム、山鳥坂ダムなど、全国の必要性が疑わしく当然に多く地元住民が反対している公共事業は一時休止から中止の方向で取り組む。第十堰問題は「今の第十堰の保全」と「可動堰を再浮上させない」方向で取り組む。
○ 四国八十八箇所、全コースの「歩き遍路道の開設と整備」(世界遺産に)。
○ 憲法違反の「イラク派兵の即刻中止」。                          2004年3月15日  藤田 恵

「やめよ!徳山ダム」 徳山ダム建設中止を求める会 代表:上田武夫
    編集責任:近藤ゆり子   事務局 〒503-0875 大垣市田町1−20−1


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