[第4章 被告の主張する新規利水開発以外の目的の検討関係]

第1 流水の正常な機能の維持(第3・3渇水調整について)

第2 洪水調節(第3・2揖斐川の現況流下能力について)

第3 発電(第4発電について)

第4 自然環境の破壊、特に大型猛禽類の保護

第1 流水の正常な機能の維持(第3・3渇水調整について)
 被告等は、「確かに、木曽川は、自流そのものが枯渇するような小河川ではないが自流が先行の既得水利に利用され、さらに、多くの水源ダムが既に設けられていて、後発の水利使用は自流で不足する分の水源をダム等の貯留施設に求めることになる」と述べ、先行の既得水利や水源ダムを所与の前提としている。
 しかし、まさにそこが問題なのでありそれ再検討して渇水対策を行うことが出来るというのが原告の主張なのである。
 社会経済の変化によって、水利使用も変化してきているのであって、先行の既得水利や水源ダムの存在は所与の前提とはならないのである。そこに手をつけずにいたずらにダム開発を進めるのは、開発のための開発に他ならない。このような姿勢は厳に改められなければならない。
 木曽川には豊富な自流があり、過大となっている既得農業用水と河川維持流量を調整の対象にすることによって渇水は容易に回避できることは明らかである。被告等は、このような調整の努力を行わないことを前提にするものであって、改正河川法の趣旨にも反するものである。被告等の主張こそ理由がない。

第2 洪水調節(第3・2揖斐川の現況流下能力について)
 洪水調節については、原告は、最終準備書面補充書2第8でp24〜27で3頁を割いて述べたが、被告等からは、p27の3の被告の建設省(当時)が石井紘基議員に不正確な資料を提供したことによるによって生じた、末節的なこと以外に何にも反論がなかった。

第3 発電(第4発電について)
揚水発電が効率の悪い発電方式であり、まず、切り捨てられることは当然のことである。

第4 自然環境の破壊、特に大型猛禽類の保護
 被告等は「大型猛禽類調査について」は特に述べていない。これは、被告等が、日本自然保護協会の指摘、すなわち「工事を一旦中止して、希少猛禽類を保全できるかどうか調査検討しなければならない」に答えることができない当然の帰結である。希少猛禽類が保全できるかどうか明らかでないのに、十分な保全対策をとっていると主張する被告等の態度は背理と言う他ない。考慮すべき事情を考慮していないことに他ならない。



HOMEBACK