[第2章 本件事業認定処分の違法性関係]

第1 法20条の解釈について
 被告等は、最終準備書面(補充の2)において、原告の法20条の解釈についての原告の反論には全く反論をしていない。
 原告は本件ダムは公団法に基づき水公団が設置する利水ダムであるから利水目的がなければ設置することはできないことの根拠として、現在建設が計画されている設楽ダムを例に挙げ、促進法の指定水系のダムにも関わらず水公団ではなく、河川法に基づき国土交通省が設置することを指摘した。これに対する反論がないのは、利水目的がなければ水公団がダムを設置する根拠がなくなることを認めざるを得なかったからにほかならない。利水目的が認められなければ、本件ダムを水公団が公団法に基づき設置する法的根拠を失うことになることは明白なのである。
 また、本件処分の判断は、高度に政策的、専門技術的なものであるとの被告の主張に対して、当の審査官である山崎房長に利水・治水に関する基礎的な知識すらなかったとの原告の反論についても然りである。被告等は反論するものがないのである。
 判断材料としての資料について最新のものを使っていなかったことについても同様であり、被告等は敢えて判断資料として、判断当時最新のものでないダム審の資料を流用したことなどを正当化するすべを持たなかったのである。



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