第5章 結論

1 以上の通り、本件事業認定処分は、収用法20条2項および3項、特に3項の事業認定要件を欠いていることが明らかとなった。
 よって、本件事業認定処分は違法であって、本件事業認定処分は取り消されるべきである。また、本件収用裁決は、その前提となっている本件事業認定処分が違法であるので、その違法性を承継して違法であって、取り消されるべきである。
2 本件事業認定処分や本件収用裁決を取り消して徳山ダムの建設を中止する必要性を述べて、最後の結論とする。
 徳山ダムの建設を中止、それも早期に中止することは、徳山ダム集水域の自然環境の保全のため必要なことはもちろんであるが、その前に、岐阜県、愛知県、名古屋市の財政を過酷な不良債務や破綻から救うために必要である。これは今すぐにしなければならない。本件で、原告らが徳山ダムによる新規利水開発の必要性に審理を集中して早期の審理・判決を求めているのはそのためである。
 徳山ダムのように、開発水に需要が全くないものは、岐阜県、愛知県、名古屋市のにおいては、地方公営企業としての水道事業や工業用水道事業の破綻を引き起こす。結局、一般会計から使用されるあてのない水のために税金が注入されるだけである。
 徳山ダムの建設を、建設早期の現段階で中止することは、岐阜県、愛知県、名古屋市を、これ以上の無駄かつ過酷な費用負担から解放し、不良債務と不良資産による財政破綻から救うために必要なことである。

別紙 表3-5-1 名古屋市の水源開発費の費用明細 (億円)

別紙 表3-5-2 岐阜県の工業用水の費用明細 (千円)



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