徳山ダム建設中止を求める会・事務局ホームページ
抗議声明文
声 明 2004年4月27日 徳山ダム建設中止を求める会(代表:上田武夫) 密室の「3県1市の調整」及び改正河川法を僭脱する「新計画」に抗議する 国交省中部地整は、27日、徳山ダムに係る「3県1市の調整会議」を行い、利水者(岐阜県、愛知県、名古屋市)の「利水容量削減」を認めることで利水者負担の増額を抑える案を示した。同時に、3県市が返上した利水容量と電源開発(株)が返上する発電用水の容量を洪水調整容量に転用し、併せて、徳山ダムの洪水調整容量の一部を、下流にある横山ダムの農業かんがい用の容量と入れ替えるという横山ダムを巻き込む治水等の計画変更(=「新計画」)を示した。 *一方で「ダム計画策定時のデータである昭和20年代、30年代とは大きく流況が変わった」から「ダム等の利水施設の実力は低くなった」と言う。それほど流況が変化したなら、同じ時期の洪水を対象とした現行の治水計画(工事実施基本計画)を抜本的に見直す(改正河川法16条及び16条の2)の手続きをとるべきである。 以上 |
徳山ダム、治水にシフト/国交省中部整備局、調節機能25%拡充で(中日新聞記事)
事業計画変更に関する調整会議資料
1.徳山ダム建設事業の変更の概要
2.横山ダム再開発事業の変更の概要
3.洪水調節機能の向上について
4.利水計画
1.徳山ダム建設事業の変更の概要 |
1)徳山ダム建設事業の変更内容 【洪水調節】 ・・・徳山ダムの洪水調節計画について横山ダムを含めて見直し、両ダムの洪水調節機能の向上を図る。 <変更内容> ・洪水調節容量 : 100,000千m3 → 123,000千m3 ・洪水調節方式 : 200m3/S一定放流方式 → 流入量200m3/S以上全量カット 【流水の正常な機能の維持】 揖斐川の既得用水が安定的に取水できるように、また河川環境の維持、保全を図るため、不特定容量を増量する。 また洪水調節計画の変更により、横山ダムのかんがい用途を洪水調節用途に振り替えるため、横山ダムのかんがい用途を徳山ダムに振り替える。 <変更内容> ・不特定容量 : 58,000千m3 → 115,000千m3 (横山ダムのかんがい振替分32,000千m3含む) ・基準地点万石の流量 : ダム基準年で17m3/S → 近年の2/20の渇水年で約20m3/S 【異常渇水時における緊急水の補給】 変更なし 【新規利水】 関係県市において、木曽川水系水資源開発基本計画の全部変更に向けて、将来の水需給の見通しについて検討を行った結果、12.0m3/Sから6.6m3/Sに減量されることとなった。 <変更内容> ・新規利水量 : 12.0m3/S → 6.6m3/S ・新規利水容量 : 129,000千m3 → 78,000千m3 【発電】 底水容量の減量の減量に伴う発電計画の見直しの検討中である。 (参考:従来計画) ・最大出力 : 徳山発電所40万kw、杉原発電所2.4kw 《比較》 総貯水量660,000千m3 (変更なし) 従来計画 新計画 洪水調節容量 100,000千m3 → 123,000千m3 洪水期利水容量 251,400千m3 → 257,400千m3 新規利水容量 129,000千m3 → 78,000千m3 不特定容量 58,000千m3 → 115,000千m3 (横山ダムのかんがい振替分32,000千m3含む) 渇水対策容量 53,000千m3 → 53,000千m3 発電専用容量 11,400千m3 → 11,400千m3 2)諸元等 (カッコ書きは従来計画時の値) 【ダム】 形式 : 中央遮水壁型ロックフィルダム 堤高 : 161.0m 堤頂長 : 415.0m 堤頂標高 : 406.0m 堤体積 : 約13,900,000m3 【貯水池】 集水面積 : 約254.5km2 洪水時満水位 : 標高401.0m 常時満水位 : 標高400.0m 洪水時制限水位 : 標高391.0m(標高393.0m) 最低水位 : 標高363.0m(標高367.5m) 総貯水量 : 約660,000,000m3 有効貯水量 : 約380,400,000m3 (約351,400,000m3 ) 【総事業費】 約3,500億円(約2,540億円) 【工期】 平成19年度 |
2.横山ダム再開発事業の変更の概要 |
1)横山ダム再開発事業の変更内容 揖斐川は木曽三川の中で最も治水安全度が低く、平成14年7月洪水をはじめとして、計画高水位を超えるような出水の頻度が高いことから、揖斐川の治水安全度の向上は急務となっており、横山ダムの洪水調節計画について徳山ダムを含めて見直し、両ダムの洪水調節機能の向上を図る。 (変更内容) ・かんがい用途を洪水調節用途に振り替え ・新規容量相当分の50万m3の土砂掘削の取り止め ・洪水調節容量 : 22,500千m3 → 29,600千m3 ・発電運用の計画変更 |
3.洪水調節機能の向上について |
(中部地整「資料3 治水計画の考え方」 http://www.water.go.jp/chubu/chubu/hyoukaiinkai3/01.pdfのp8〜p10に似ている。 「現在未整備の上流ダム」 →「上記用途振替等により揖斐川本川において、将来ダムの機能の確保を可能とする」が加わっている。) この結果、「洪水調節機能が大幅に向上するため基準地点「万石」上流の現在未整備のダムが不要となる」。 治水基準地点万石における水位低下効果について 新洪水調節計画によれば、計画規模の洪水が発生した場合に、治水基準地点万石(河口より約40.6km)において従来計画より約0.3m水位を低下させ、計画高水位以下にすることが可能となる。 現況 : 計画高水位+約1.7m 従来計画 : 計画高水位+約0.07m 新計画 : 計画高水位−約0.37m 全川におよぶ水位低下効果について 従来計画では、計画規模の洪水が発生した場合には、河口から26〜44kmの区間の延長約18kmの区間で計画高水位を上回っていたが、新洪水調節計画ではほとんどの区間で計画高水位を下回ることになる。 |
4.利水計画(略―フルプラン木曽川部会資料に類似) |
用途別負担割合について 従来計画 新計画案 増減 治水 44.4% → 57.8% 13.4% 利水 36.8% → 28.2% ▲8.6% 発電 18.8% → 14.0% ▲4.8% |