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住民監査請求(愛知県)却下通知

15監査第30号

平成15年11月18日

別記請求人および代理人 様

                       愛知県監査委員 柳田昇二
                          同    兵藤俊一
                          同    青山秋男
                          同    小出典聖

地方自治法第242条第1項の規定に基づく住民監査請求について

(通 知)

平成15年10月17日付で提出のありました地方自治法(昭和22年法律第67条。以下「法」という。)第242条第1項の規定に基づく住民監査請求(以下「本件住
民監査請求」という。)については、別紙の理由により却下します。

(別紙)

本件住民監査請求を却下する理由

1 請求の趣旨(略)

2 要件審査

 監査の実施に当たり、本件住民監査請求が法第242条の要件に適合しているかどうかについて審査を行ったが、その結果は次のとおりである。

(1)法第242条第1項に定める住民監査請求にあっては、住民に対し、当該普通地方公共団体の執行機関または職員による一定の具体的な財務会計上の行為又は怠る事実に限って、その監査と非違の防止、是正の措置とを監査委員に請求する権能を認めたものである。
 また、住民監査請求において監査の対象とされる財務会計行為とは、当該行為自体が関係法規上の義務に違反する等、違法な場合に限られるものというべきであり、その財務会計行為に先行する原因行為に違法事由が存する場合であっても、当該原因行為を前提としてなされた財務会計行為に違法性が当然に引き継がれるものではないと考えられる。
(2)請求人らは、愛知県企業庁長および愛知県知事に対し、徳山ダム建設事業に関する事業実施計画の変更に際して、水資源機構法に規定する費用負担の同意をしないことを求めているが、財務会計行為上、何が違法あるいは不当であるのか具体的に述べられていない。
(3)請求人らが、費用負担の同意を違法又は不当とする理由について、住民監査請求書等から総合的に推測すると、その一つとして、「使うあてのない水資源開発のために費用を負担することは許されない」ことを挙げていると考えられる。
 こうした主張は、徳山ダム建設事業を含めた、「水需要の見通しおよび供給の目標」や「供給の目標を達成するため必要な施設の建設に関する基本的な事項」などを定めている「水資源開発基本計画」(以下「基本計画」という。)に関する請求人らの意見を述べたものと考えられる。
 「基本計画」については、水資源開発促進法第4条に基づき、国土交通大臣が、関係大臣および関係行政機関の長に協議し、かつ、関係都道府県知事および国土審議会の意見聴取を行ったうえで、さらに閣議決定を経て決定されるものである。
 請求人らが費用負担の同意差止めを求める理由が、以上のような「基本計画」に定める水需給に関するものであるとすれば、当該同意の当否を判断するためには、「基本計画」の内容の当否についての判断が必要となるが、監査委員に対して、そのような水資源開発政策についての判断を求めるのは、住民監査請求制度の目的を著しく逸脱するものと思料される。
 また、仮に「基本計画」に疑義があったとしても、それらは費用負担の前提となるところのいわば先行する原因行為であり、(1)のとおり、それを前提としてなされる財務会計上の行為の違法性・不当性を示すものと言うことはできない。

(4)さらに、請求人らは、別の理由として、水道料金の大幅な増額が見込めない中で、徳山ダム建設事業の費用負担の財源としては、一般会計からの繰り入れ以外に方法がなく、本来それが目的とする住民一般の福祉に用いられるべき資金を、料金回収できない、使うあてのない地方公営企業の投資のために奪うものであり違法であると主張するが、将来、水道料金がどのようになるのか具体的に示したものはなく、また、一般会計から公営企業会計への繰り入れが一律に違法とされるものではないところ、その違法性について具体的に示されていない。
 国土交通省において、「基本計画」の方向付けも含めて変更に係る作業に取りかかった現時点においては、費用負担に係る同意内容がどのようになるのか、さらに、一般会計からの繰り入れが必要とされるのかどうかも不明であり、請求人らの主張は具体性に乏しいものであるといえる。
 それらを合わせて、監査委員に費用同意の当否に係る判断を求めることは、住民監査請求制度の趣旨に沿わないものと考える。

(5)以上のことから、本件住民監査請求は、法第242条の要件を欠いているので、不適法である。


《住民監査請求書(愛知県) 要旨》


住民監査請求 (名古屋市)却下通知

15監第202号

平成15年11月18日

請求人代理人

新海 聡 様

          名古屋市監査委員  横井 利明
             同      梅村 邦子
             同      倉坪 修一

名古屋市職員措置請求について(通知)

 平成15年10月17日に提出された住民監査請求について、下記の理由により却下することに決定しましたので通知します。
 なお、下川利郎委員は地方自治法第199条の2の規定により除斥しました。

 本件住民監査請求は、上下水道局長及び市長に対して、徳山ダム建設事業の事業実施計画の変更に係る費用負担の同意をしないよう勧告することを求めるものである。その理由は、費用負担の同意により本市は支払いの義務を負うことになるが、その費用負担については、水道事業及び工業用水道事業における料金収入だけではまかないきれず、一般会計からの繰り入れが必要となり、それは地方公営企業の独立採算義務を規定している地方財政法及び地方公営企業法に違反する。また、地盤沈下対策を目的とする一般会計からの工業用水道事業会計への出資は原因者負担という公害対策原則に違反する、というものである。
 本件について、本市は独立行政法人水資源機構から全体事業費の変更に関する概要説明を受けているが、現段階では個別具体的な費用負担の要請はなされておらず、住民監査請求として審査すべき具体的内容が存しない。
 また、請求人らは水道料金を著しく増額しなければ費用負担の支弁ができず、それは需要者に受け入れられるはずがないから一般会計から繰り入れ以外に方法はないとしているが、これは請求人らの主観的な見解である。
さらに一般会計からの繰り入れが違法であると主張しているが、一般会計から地方公営企業の特別会計への出資等について地方財政法及び地方公営企業法に規定されており、一般会計からの繰り入れ自体は違法とはいえない。
よって、請求人らの主張する理由は、費用負担の同意についての違法性を摘示するものとはいえない。
 以上の理由により、本件は住民監査請求の対象とはならない。

             (監査事務局監査第一課)



《住民監査請求書(名古屋市)要旨》


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