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水資源開発基本計画(フルプラン)

 国土交通省原案作成――閣議決定――国土交通大臣決定――官報告示

木曽川水系における

水資源開発基本計画

                                平成9年12月19日 閣議決定
                             平成9年12月25日 総理府告示第36号


1 水の用途別の需要の見通し及び供給の目標

 この水系に各種用水を依存する見込みの長野県、岐阜県、愛知県及び三重県の諸地域に対する21世紀の初頭に向けての水需要の見通し及び供給の目標については、経済社会の諸動向並びに水資源開発の多目的性、長期性及び適地の希少性に配慮しつつ、この水系及び関連水系における今後の計画的整備のための調査を待って、順次具体化するものとするが、昭和61年度から平成12年度までを目途とする水の用途別の需要の見通し及びより長期的な見通し並びにこれらを踏まえた供給の目標は、おおむね次のとおりである。

(1) 水の用途別の需要の見通し
 昭和61年度から平成12年度までを目途とする水の用途別の需要の見通しは、計画的な生活・産業基盤の整備、地盤沈下対策としての地下水の転換、不安定な取水の安定化、合理的な水利用、この水系に係る供給可能量等を考慮し、おおむね次のとおりとする。
 水道用水については、この水系の流域内の諸地域並びに流域外の岐阜県、愛知県及び三重県の一部の地域における水道整備に伴う必要水量の見込みは、毎秒約14立方メートルである。
 工業用水については、この水系の流域内の諸地域並びに流域外の岐阜県、愛知県及び三重県の一部の地域における工業用水道整備に伴う必要水量の見込みは、毎秒約6立方メートルである。
 農業用水については、この水系の流域内の諸地域並びに流域外の岐阜県、愛知県及び三重県の一部の地域における農業基盤の整備その他農業近代化施策の実施に伴う必要水量の見込みは、毎秒約14立方メートルである。 また、平成13年度以降においても、さらに必要水量が発生する見込みである。
(2) 供給の目標
 これらの需要に対処するための供給の目標は、平成12年度において毎秒約34立方メートルとし、あわせて平成13年度以降の需要の発生に対処するため計画的な水資源開発を推進するものとする。
 このため2に掲げるダム、堰、多目的用水路、専用用水路その他の水資源の開発又は利用のための施設の建設を促進するとともに、新たな上流ダム群等の開発及び利用の合理化のための調査を推進し、その具体化を図るものとする。

2 供給の目標を達成するため必要な施設の建設に関する基本的な事項

 上記の供給の目標を達成するため必要な施設のうち、取りあえず、平成12年度における新規利水量毎秒約34立方メートルの確保及び平成13年度以降発生する需要への計画的な対処を目途として、次の施設の建設を行う。

(1) 三重用水事業 事業目的  この事業は、牧田川沿岸の農業用水等の水需要及び既得利水の確保について必要な措置を講じつつ、中里ダム、取水施設及び水路等を建設することにより、三重県の北伊勢地域の農地に対し、必要な農業用水の確保及び補給を行うとともに、三重県の水道用水及び工業用水を確保するものとする。
 なお、この事業の実施に当たっては、水産業に及ぼす影響について十分配慮するものとする。
事業主体 水資源開発公団
河川名 牧田川
中里ダム
新規利水容量 約16,000千立方メートル
(有効貯水容量約16,000千立方メートル)
予定工期 昭和39年度から平成4年度まで

(2) 長良川河口堰建設事業 事業目的  この事業は、長良川における治水のため上流部に建設するダムと併せて下流部におけるしゅんせつに対処して塩害を防除するとともに、流水の正常な機能を維持しつつ、愛知県及び三重県の水道用水及び工業用水を確保するものとする。
 なお、この事業の実施に当たっては、水産業及び長良川沿岸の水位変化による内水等に及ぼす影響について十分配慮するものとする。
事業主体 水資源開発公団
河川名 長良川
堰上流水位  T.P.約0.80〜1.30メートル
予定工期 昭和43年度から平成6年度まで

(3) 阿木川ダム建設事業 事業目的  この事業は、洪水調節及び流水の正常な機能の維持を図るとともに、岐阜県及び愛知県の水道用水及び工業用水を確保するものとする。
事業主体 水資源開発公団
河川名 阿木川
新規利水容量 約22,000千立方メートル
(有効貯水容量約44,000千立方メートル)
予定工期 昭和44年度から平成11年度まで
ただし、概成は平成2年度

(4) 徳山ダム建設事業 事業目的  この事業は、洪水調節及び流水の正常な機能の維持(異常渇水時の緊急水の補給を含む。)を図るとともに、岐阜県及び愛知県の水道用水及び工業用水を確保するものとする。
 なお、徳山ダムは発電の用にも、併せ供するものとする。
事業主体 水資源開発公団
河川名 揖斐川
新規利水容量 約166,000 千立方メートル
(有効貯水容量約351,400 千立方メートル)
予定工期 昭和46年度から平成19年度まで

(5) 味噌川ダム建設事業 事業目的  この事業は、洪水調節及び流水の正常な機能の維持を図るとともに、岐阜県及び愛知県の水道用水及び工業用水を確保するものとする。
 なお、味噌川ダムは発電の用にも、併せ供するものとする。
事業主体 水資源開発公団
河川名 木曽川
新規利水容量 約31,000千立方メートル
(有効貯水容量約55,000千立方メートル)
予定工期 昭和48年度から平成13年度まで
ただし、概成は平成8年度

(6) 愛知用水二期事業 事業目的  この事業は、愛知用水施設の改築等を行うことにより、農業用水等の供給に係る水路等の機能の回復・安定を図るとともに、阿木川ダム及び味噌川ダムにより確保される愛知県の水道用水の一部及び同県の工業用水を供給するものとする。
事業主体 水資源開発公団
河川名 木曽川 
取水量    最大毎秒約32.4立方メートル
予定工期 昭和56年度から平成18年度まで

(7) 長良導水事業 事業目的  この事業は、取水施設及び水路等を建設することにより、長良川河口堰により確保される愛知県の水道用水を供給するものとする。
事業主体 水資源開発公団
河川名 長良川
最大取水量  毎秒約2.86立方メートル
予定工期 平成4年度から平成9年度まで


 この他、既に完成している木曽川用水施設の改築を行う。

(1) 木曽川用水施設緊急改築事業 事業目的  この事業は、木曽川総合用水事業に係る木曽川用水施設のうち、老朽化等により低下した施設の機能を回復するため、同施設の改築を行うものである。
事業主体 水資源開発公団
河川名 飛騨川及び木曽川
最大取水量  木曽川右岸地区 毎秒約 9.19 立方メートル
濃尾第二地区  毎秒約41.83 立方メートル
木曽川大堰天端
標高 T.P.約4メートル
予定工期 平成8年度から平成13年度まで

 なお、上記の8事業の事業費は、洪水の防除、流水の正常な機能の維持及び発電に係る分を合わせて約10,800億円と見込まれる。
3 その他水資源の総合的な開発及び利用の合理化に関する重要事項
 (1)  この水系の河川による新たな水需要の充足、河川からの不安定な取水の安定化及び地盤沈下対策としての地下水の転換を図り、適切な水需給バランスを確保するために、事業の促進に努めるとともに、関連水系を含めた水資源の開発及び利用について総合的な検討を進め、積極的な促進を図るものとする。
(2)  水資源の開発及び利用を進めるに当たっては、水源地域の開発・整備を図ること等により、関係地域住民の生活安定と福祉の向上に資するための方策を積極的に推進するとともに、ダム周辺の環境整備、水源の保全かん養を図るための森林の整備等必要な措置を講ずるよう努めるものとする。
(3)  水資源の開発及び利用に当たっては、治水対策、河川環境の保全及び水力エネルギーの適正利用に努めるとともに、既存水利、水産資源の保護等に十分配慮するものとする。
(4)  この水系における水資源の開発及び利用に当たっては、次のような水利用の合理化に関する施策を講ずるものとする。
@  漏水の防止、回収率の向上等の促進を図るとともに、浪費的な使用の抑制による節水に努めるものとする。
A  生活排水、産業廃水等の再生利用のための技術開発等を推進し、その利用の促進を図るものとする。
B  近年の経済社会の発展に伴う土地利用及び産業構造の変化に対応し、既存水利の有効適切な利用を図るものとする。なお、水資源の広域的な利用についても配慮するものとする。
(5)  近年、降雨状況等の変化により利水安全度が低下し、しばしば渇水に見舞われている。また、生活水準の向上、経済社会の高度化等に伴い、渇水による影響が増大している。このようなことから、渇水に対する適正な安全性の確保のため、各種方策の有効性等について総合的に検討し、その具体化を図るものとする。
(6)  水資源の総合的な開発及び利用の合理化に当たっては、水質及び自然環境の保全に十分配慮するとともに、水環境に対する社会的要請の高まりに対応して水資源がもつ環境機能を生かすよう努めるものとする。
(7)  本計画の運用に当たっては、各種長期計画との整合性、経済社会情勢及び財政事情に配慮するものとする。



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