徳山ダム建設中止を求める会・事務局ホームページ


《 会の紹介 》

なぜ 「徳山ダム」 の建設中止を求めるのか


 徳山ダムは、揖斐川の上流に利水と治水、電力の三つの目的をもって建設を進めているが、どの点をとっても百害あって一利なしのムダなダムである。
 かつて豊かな地下水を利用して操業していた工場が、今ではことごとく撤退していった。それに伴って地下水が回復し、飲料水が安定して供給できるようになってきた。あの異常渇水の年にも、揖斐川の水は枯れても、地下水はこんこんと湧き出ていたのである。安定した生活を送るのに大切なのは豊かな水である。大垣市民は「うまくて、安全で、安い」水の恵みを受けて、命の養いができるのである。
 揖斐川の下流域は小河川が複雑に入り組んだ輪中地帯である。上流にダムを造れば河川の氾濫が治まるという単純なものではない。様相の違う小河川のひとつひとつにそった対策をきめ細かく行うことである。遊水池の確保、堤防の補強、河床の整備などを総合的に行うことである。
 失われるものは何か、巨大ダムの建設によってかけがえのない自然が破壊されている。ここには北方系のイヌワシと南方系のクマタカが共存している。絶滅が危惧されているこの大型猛禽類にとって、揖斐川の源流域は生態系を保全していくために、重要なエリアなのである。イヌワシ・クマタカの棲息と繁殖を可能にすることが大切。ダムの建設を中止して、緑豊かな山を再生することこそが急務なのである。

( 上田武夫 )


代表の上田武夫です。

  ムダナダムヲメヨウ daihyo.htm.jpg
    イヌワシマタカノスムヤマ
    ハカイヲメテ
   ミドリノヤニシヨウ

目的を失った日本最大の無用のダムをとめて

子供たちが希望を持てる社会にしたい


事務局長の近藤ゆり子です。

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95年に建設省が設置した「徳山ダム建設事業審議委員会」を傍聴して、「徳山村で移転補償交渉が行われた80年代初めには、(情報を得ることができる人々−行政当局などには)徳山ダムが無駄なダムであることは分かっていたのだ」という思いを強くしました。「おかしいな」と感じたら、まず知ろうとすること。それが普通の市民が次世代に責任をとる第一歩だと感じています。


1999.11.24 堤体建設予定地で建設阻止行動


運営スタッフ

村瀬惣一 長良川河口堰建設差し止め訴訟原告。旧日本陸軍少尉として中国大陸に従軍。「二度と戦争をしてはならない」と強く思っています。責任回避に終始する官僚の体質は、今も昔も変わらない。官僚の暴走を許せば、あとで大変なことになる。
竹村 博 公共事業に群がる行政・政治・業界の連鎖を断ち切って、市民のための社会構造への転換を目指す。
海野修治 ダムに限らず空港や道路、橋などの公共事業は、無駄なものと有益なものがあるだろう。市民には、それを見極める力が求められていると思う。私たち市民のために、運動しています。
野村正男 徳山ダムが無駄な公共事業であることは、はっきりしています。子供たちに、我々世代のツケを残すわけにはいきません。これが、今の大人世代の責任の取り方だと信じて、十分に考え抜いた上で、「会」に参加して、活動をしています。

徳山ダム建設中止を求める会・事務局

〒503-0875 岐阜県大垣市田町1-20-1  TEL・FAX 0584-78-4119(近藤ゆり子)
郵便振替[00800−7−31632]/宛先「徳山ダム建設中止を求める会」

入会案内


次の世紀でも、イヌワシが飛ぶ徳山の自然を残したい g-eagle.gif


目的を失ったダム

 徳山ダムは「木曽川水系水資源開発計画(フルプラン)」に則って水資源開発公団が建設する水資源ダムです。ご承知のように、徳山ダムに先行して造られた長良川河口堰の水も、そのほとんどが需要はなく使われないままになっています。
 徳山ダムの利水計画は、利水予定とされる愛知県(水道水4.0m3/秒)、名古屋市(水道水2.0m3/秒、工業用水1.0m3/秒)、岐阜県(水道水1.5m3/秒、工業用水3.5m3/秒)のどの分についても全く具体的な利水計画は存在していないのです。
 そして、水需要予測の誤りを認めざるを得ず2004年になって、それぞれの自治体は利水容量を大幅削減するという方針に転換し、自らが「水余り」を証明してしまったのです。
 フルプランに徳山ダム計画が載った1973年までは、都市用水(水道水・工業用水)の需要はかなりの勢いで増加していました。「そう遠くない時期に徳山ダムの水が必要になる」と考えたのも無理はありません。ところが、ちょうどこの1973年にオイルショックが発生し、都市用水の伸びはピタリと止まってしまったのです。以来、工業用水はずっと漸減(工業の構造的変化及び企業のリサイクルの伸びによる)、水道水は漸増で、都市用水全体としては横這いです。それで、木曽川フルプラン全体としては1977年に完成した岩屋ダムの水も多くが使われずに残ってしまっています。これまで減り続けてきた工業用水は、今後も需要が伸びるはずもなく、水道水需要も人口の頭打ちにより、漸減傾向で大きく伸びる見込みはありません。
 岐阜県は、「大垣地域で使うことになる」と言っていますが、大垣地域は「水の都」といわれるほど水には恵まれていて、1994年の大渇水のときも何の影響もなく、ふんだんに水を使っていました。揖斐川の水でさえほぼ涸れたこの年の渇水について、当時の建設省は、「建設省のシミュレーションでは、仮に徳山ダムが存在しても涸れただろう、としていて、ダムが役に立たないことを認めたのです。
 岐阜県では1977年に完成した岩屋ダムからの水で工業用水道を作る予定でしたが、未だにほんのわずかしか需要がないので、工業用水道会計を作ることができず、一般会計から(つまり税金で)全額償還しました。岐阜県が確保した岩屋ダムの水5m3/秒(約100万人分の水道水に相当する)は使われる見込みはありません。
 新たな水需要が生じないことは、国土交通省も分かっているのです。それで、地盤沈下対策で水源転換をするとか、渇水対策で必要だとか言います。しかし1970年代までに濃尾平野に(工場の地下水のくみ上げで)生じた地盤沈下はすでに収まっています。大垣地域に(地下水くみ上げによる)地盤沈下はありません。何十年に一度の渇水に対応する巨大ダムを作るのはあまりにもコストがかかりすぎて話になりません(ペットボトルで売っている水くらいの値段になります)。公共施設の雨水利用を併用しつつ地下水を大切に使う方がよほど現実的です。
 徳山ダムによる洪水調節は、「どうせダムを作るのだから洪水調節機能も持たせよう」と考えた治水計画です。つまりダム無しの治水計画代替案はいくらでも存在します。最近いくつものダムが中止になっていますが、その多くは「洪水調節」をも目的にしていました。ダム建設を中止しても治水ができないということはないのです。
 発電については、事業者である「電源開発」はコストが余りにも高く頭を抱えていたその果てに、発電計画の大幅縮小に追い込まれました。中部電力も「高いものは困る」と腰を引いて、結局、発電計画から撤退を余儀なくされてしまいました。
 長良川河口堰などの開発水で既に水は供給過剰状態に陥っているのに、渇水対策にも役に立たず、新たに開発する電力はコストが高過ぎて電力会社のお荷物になる上に、ダムだけで洪水防御は不可能であることは今ではだれでも知っています。それでも徳山ダムの建設工事は環境を破壊しながら、今日も進んでいるのです。

(近藤ゆり子)



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