やめよ!徳山ダム No.62 (2005. 1.18)


徳山ダム裁判控訴審にご注目を

 日本の裁判所の多数派の姿勢からいうと、第1審が行政側勝訴の場合、控訴審は「1回結審」もありうる。しかし、あの「(対行政の)裁判所の思考停止状態」を露呈した第1審判決で(03年12月)さえ、付言として「当裁判所は、公団の本件水需要予測について建設大臣が平成10年12月にこれを是認した判断が、当時においては建設大臣の裁量の範囲を逸脱するものではないと判断するにすぎないものであり、現時点においてはウォータープラン21の水需要予測の方がより合理的であると推認される。したがって、独立行政法人水資源機構としては、早急に水需要予測を見直し、最終的な費用負担者である国民、県民の立場に立って、水余りや費用負担拡大等の問題点の解決に真摯に対処することが望まれる」と述べなければならなかった。そして04年夏のフルプラン改定−事業実施計画変更(河川法僭脱という違法な治水計画変更を伴った)は、「徳山ダム建設事業」の無意味さ(財政・環境面からは大きな「負」でしかない)を、一層明らかにした。
 控訴人(私たち)側は、利水・治水について意見書
☆ 伊藤達也:「木曽川水系フルプラン2004の検討−渇水対策は徳山ダムではなく、河川自流水を使った対策が望ましい−」
☆ 富樫幸一:「木曽川水系水資源開発基本計画(2004年6月)及び関係県市の需要想定調査等に対する批判」
☆ 嶋津暉之:「治水面からみた徳山ダム計画の問題点」
を提出し、証人採用も含めた、きちんとした事実審理を迫っていく。是非傍聴を!

行政訴訟=2月10日(木)13時30分〜
住民訴訟=2月17日(木)10時〜 (いずれも名古屋高裁1F法廷)


長良川河口堰住民訴訟・三重 控訴審 第2回口頭弁論
  1月24日(月)11時〜   名古屋高裁
 申請した証人が受け入れられ裁判が継続するかどうかが決まる重要な局面です。傍聴をお願いいたします。(TM)
「わが国の環境問題、公共事業問題を語る場合、長良川河口堰問題を避けて通ることはできない。・・・長良川河口堰は水資源開発の根拠を失っているのにもかかわらず存続している事業の典型例であり、かつ存続によって新たな問題を発生し続けている事業の代表例なのである。」(「水資源政策の失敗−長良川河口堰」/成文堂/「はじめに」より)


荒崎水害訴訟 ― 第1回口頭弁論開かれる ―

 11月18日、2002年7月の浸水被害の責任を問う、荒崎水害訴訟の第1回口頭弁論が開かれました。8月9日提訴後の10月20日、台風23号によって、実に16回目の浸水被害を被った方々です。
 怒りと哀しみの原告意見陳述が行われました。
 輪中地帯である揖斐川流域の「治水」は「河道に全ての洪水を押し込める」という河道主義では解決できません。(ましてやすでにダムのある本川の最上流部の巨大ダムで洪水調節をすれば荒崎地区の水害はなくなる、などと国交省河川局も岐阜県河川課も言ってはいない。しかし梶原拓・岐阜県知事は議会でそのように言う)。この「荒崎地水害訴訟」は、「川は溢れるもの」であることを認めた上で、河川管理者の責任を問うものとして全国的にも「先駆け」となる訴訟となっていくでしょう。
 第2回=1月20日(木)10時30分〜
 第3回=3月3日(木)10時30分〜 (いずれも岐阜地裁)


  治水予算の最優先は「徳山ダム」なのか?

 荒崎水害の対策には、牧田川・杭瀬川の河道改修・堤防強化は避けられません。徳山ダム追加予算の捻出のために「まさにここの場所の予算」を削る、とは何ごとでしょう。しつこく問い質すと「保留解除でこの場所の予算をつけましたから、今年度としては遅れはありません」と言います。
ではその予算はどこから来たのか?
 災害に備えてとってある「災害復旧等関連緊急事業費」から、とのこと(一つ質問するごとに、回答が1ヶ月以上かかる)。04年にあれほど大災害が起こったのだから、「災害復旧等関連緊急事業費」に余裕があるはずがありません。
 「本来、災害復旧に回るべきお金が徳山ダムに回された」ということです。皮肉を言えば、荒崎地区も04年にまた大災害被ったから「災害復旧等関連緊急事業費」を使うのは、話が合っている、ということでしょうか。

2005年度予算に対する声明

声  明  (抜粋)

〜地域住民の一日千秋の思いを裏切って捻出された04年度徳山ダム事業費追加分。
その説明すらなしに、巨額の予算を徳山ダムにつけることに強く抗議する〜

2004年12月20日
徳山ダム建設中止を求める会

 20日に発表された来年度予算では、徳山ダム事業費は、260億円の巨額な予算となった。
 04年度徳山ダム追加予算につき、まともな説明を逃げ回ったまま、このような巨額な予算を計上したことにつき、財務省及び国交省に対し強く抗議する。必要な河川改修等を怠って「ダム」に巨額な予算を投入することは、流域住民の安全を著しく損なうものである。
 04年度の徳山ダム事業費当初予算は93億円であった。これでは工事は止まる。国交省と水機構はなりふり構わぬ違法・脱法を積み重ねて徳山ダム事業実施計画変更(04.7.15。事業費3500億円)を行った。そして7月22日、治水特別会計という官僚独裁を支えるポケットの中で徳山ダム事業費を捻り出した。
 どこを削ったのか? 4ヶ月待たされてその答えの一端が明らかになった。
 削られた「一般河川改修 木曽川(上流)1,889,000(千円)」は、
1.河川改修事業:木曽川(上流)のうちの(揖斐川)の「牧田川・杭瀬川」の部分。

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・ 大垣市横曽根地先において、杭瀬川の洪水疎通能力を増すため河道掘削及び低水護岸工事を推進する。
・ 養老町江月地先において、杭瀬川の洪水疎通能力を増すため河道掘削、旧堤撤去、低水護岸及び高水護岸工事を推進する。
・ 養老町船付地先において、牧田川の洪水疎通能力を増すため背割堤の築堤、低水護岸及び高水護岸工事を推進する。
・ 輪之内町塩喰地先において、杭瀬川・牧田川の洪水疎通能力を増すため背割堤の築堤、低水護岸及び高水護岸を推進する。
・ 大垣市野口地先において、杭瀬川の築堤工事を推進する。
・ 養老町根古地地先において、牧田川の堤防補強工事を実施する。

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 まさに「あの場所」(荒崎地区)に係る河川改修費を削ったのである!!!
 02年7月の6号台風で大被害を受け、04年8月9日に179世帯が提訴し、その第1回口頭弁論前の10月20日に23号台風で、実に16回目の浸水被害を受けた、「あの場所」。杭瀬川の洪水疎通能力の増大、堤防強化は牧田川圏域住民の「一日千秋の思いの悲願」なのである。こうした工事が「徳山ダムを優先するから、後回し」にされるとは、地域住民は、よもや考えていなかったであろう。
 04年の相次いだ水害は「ダムで洪水は防げない」ことを明らかにした。山林のことはおくとしても(「山林のことは農水省」と国交省は逃げる)、弱いままの堤防、放っておかれる河道・・・「ダム優先治水」こそが災害をもたらしたのだ。
 たとえ、徳山ダムが洪水調節に有効であるとしても、数々の水害訴訟で河川管理者が水戸黄門の印籠のごとく持ち出す大東水害訴訟最高裁判決にあるごとく「治水には財政的制約がある」。最も優先されるべきは横山ダムの上流に巨大ダムを作ることなのか?
 そもそも「徳山ダムの洪水調節分は約600億円であるから費用対効果が良い」としてきた説明(1996年徳山ダム審)は、「3500億円の治水ダム」に変貌したときに破綻したではないか。
 「財政的制約」は強まる一方である。河川局技術職員の誰一人信じていない「本川最上流部のダムによる洪水調節が最も効果的」という神話のために巨額な予算を費やし、必要な堤防改修や河道整備を怠るのはやめよ。公務員としての義務を全うしようとするなら、このような流域住民の安全を無視した「予算」はありえない。
 04年度の「予算を削られた河川改修事業」の説明をきちんとするのが先である。
 その説明責任を果たすまで、財務省−国交省は原案から徳山ダム事業費をいったん削除せよ。
 揖斐川流域住民を中心とする当会は、この「260億円」徳山ダム事業費予算に、改めて強く抗議する。

                           以上


☆TV番組ビデオについて
 12月20日深夜(21日未明)にオンエアされた“名古屋テレビ”「水はいくらだ!徳山ダムと長良川河口堰」は取材の行き届いた良い番組でした。ビデオは、事務局で録画保存してあります。


2004年 会計報告

会費・カンパ 1,155,667 弁護団へ 500,000
- - 他団体へ 32,850
- - 通信費 134,093
- - 送料 276,035
- - 消耗品費 59,639
- - 資料費 62,418
- - 印刷機械等 115,280
- - その他 5,000
1,155,667 1,185,315
収入 1,155,667 支出 1,185,315

29,648

単位/円

2003年からの繰り越し 現金 26,992
郵便局口座 511,097
銀行口座 5,759
2004年への繰り入れ 現金 69,134
郵便局口座 439,317
銀行口座 5,759

 皆様に支えて頂き、ありがとうございます。。。
 裁判は続きます。また機械類が古くなり、買い換えも考えなくてはならないので、引き続き、よろしくお願いいたします。
 収入が減っています。支える輪を拡げて下さるようお願い申し上げます。


編集:近藤ゆり子

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