やめよ!徳山ダム No.53(2003.08.09)



「徳山ダム事業費は1010億円増額」  岐阜県・愛知県・名古屋市は費用負担同意をするな!



7.12「徳山ダムは名古屋の問題」シンポ 報告

当日は、150部用意した資料が全部なくなり、会場がいっぱいになった。長時間のシンポであり、中身もボリュームがあったが、参加者は最後まで集中して、充実したシンポジウムとなった。(シンポの模様は当会サイト)
シンポ終了後、「7.12『徳山ダムは名古屋の問題』シンポ実行委」の形を残して名古屋市を中心とした行動を担っていくことを決めた。
7月25日に国交省中部地整と水公団中部支社に申し入れを行い、8月7日には名古屋市に要求書をもって行った。
9月3日(水)18:30〜 名古屋市教育館(地下鉄栄駅B出口)で「徳山ダムの費用負担のしくみ・撤退の際の負担」についての学習会を行います。多くの皆様のご参加をお待ちしています。

 恒例・徳山村キャンプ 8月23日(土)・24日(日)

昨年は64名参加。クマタカのペアの飛翔を見ることができました。
 8月23日 13時 大垣駅北口 出発*
 24日の午後の早めの時間に帰着します。
参加費:3000円〜3500円程度(子供は無料)。食事・飲み物は準備します。
参加者各自が用意するもの:寝袋or毛布。長袖シャツ。雨具など。
    <できるだけ> my箸、 myコップ、my皿  テント、シート

* ご自分で移動可能な方は、公団のバスで工事現場見学することも可能です *

 詳細のお問合せ及び参加申込みは事務局へ(TEL&FAX 0584-78-4119近藤)。

台風接近などで急遽予定を変更する場合の連絡先を明らかにしておいて下さい。



建設費1010億円増額問題に対する私たちの「見解」

徳山ダム建設中止を求める会(代表:上田武夫)

1.一方的な「増額」は許されない
 これまで、国交省・水公団は、ユーザー(利水者・受益者、結局は住民・納税者)に対して、「徳山ダムを2540億円で作る」と約束してきた。ダム事業における「事業費」は水価、費用対効果等を検討する上で最も重要な要素である。事業費が増額されるなら、ユーザーは改めて判断しなければならない。財政における民主主義を保障するために、いったん事業を凍結し、時間をかけて新たに広範な住民・納税者の議論に付すべきである。
 水公団は「事業再評価をした」「利水者が必要だと言っている」として、増額は当然であるかのような姿勢をとる。しかし「2540億円」が「3550億円」となれば「話が違う」。「3550億円」をベースに事業再評価や新規利水の必要性が検討されたことは、どのレベルにせよ、まだ一度もないのだ。
 
2.利水者(岐阜県、愛知県、名古屋市)は費用負担同意をするな
 利水者が、費用負担同意をしなければ、徳山ダム事業費の増額変更はできない(=今年度で2460億円を使い切るため、来年度は、残り90億円を超える予算は組めない。工事はストップする)。利水者は、国交省・水公団のスケジュールに迎合して今年度内の費用負担同意をするようなことがあってはならない。
 費用負担同意をしなければ、「撤退新ルール」(水機構法施行令18条2,30条2)の「当該新築又は改築に要する費用の額」はあくまでも2540億円のままであり、撤退しても追加負担は生じない。需要発生の可能性が全くない水のための(従って確実に不良資産となる)水源開発施設建設事業から、今こそ、撤退するべきである。
 利水者(岐阜県、愛知県、名古屋市)それぞれにおいて、「3550億円」を前提とした必要性の議論はこれまで全く存在せず、実務担当者レベルでの作業さえもなされていない。これまでの選挙で「徳山ダム推進」の立場に立つ首長や議員に投票した有権者さえも、「3550億円」(によって生じる負担)を承知した上で投票したわけではない。「撤退」を視野に入れた各県民・市民の広範な議論を起こし、県民・市民の真の合意が形成されるまで、利水者は費用負担同意をしてはならない。

 どの利水者も厳しい一般財政、企業会計であるが、特に岐阜県は尋常ではない。
 岐阜県の工業用水道会計は成立する前に破産している(岩屋ダムの建設費負担金は全部一般会計から直接水公団に支出されており、現在ある工業用水道会計から一般会計に返済することは不可能である)、新たな水利権どころの話ではないのである。もし徳山ダムからの水道水の水利権を持つとすれば、これまた大変な不良資産となるのは明らかである。

3.揖斐川流域住民の真の安全のための議論を
 徳山ダムの利水に具体的な需要は全く存在せず、発電も2014年までは行われない(さらに延期される可能性も大きい)。徳山ダム必要論の立場の人も含めて、事業費増額についてきちんとした検討作業を行い、広範な議論に付す間、いったん工事を凍結することに支障はないはずである。
 しかし、国交省は「治水のための徳山ダム」を前面に掲げて2007年完成を急ぐという。国交省の揖斐川治水計画には全体としても非科学的虚構が多いが、それでも「徳山ダムが完成しさえすれば揖斐川流域の洪水はなくなる」などとは国交省自身も口にしていない(言えない)。まして昨年7月に大被害を被った揖斐川流域・大谷川右岸洗堰の浸水被害(これまで40年間に14回の浸水被害)は、揖斐川本流最上流部の徳山ダムでは解決しない。しかし、国交省・水公団は、あたかも徳山ダムが完成しさえすれば荒崎地区の浸水被害がなくなるような「誤解」を積極的にふりまいて、揖斐川住民全体を騙し、徳山ダム建設推進の世論形成を行おうとしている。「徳山ダム」という蜃気楼で、被災者を騙し、被災者からの追及をかわし、責任問題から逃げようとしている。国交省中部地整及び水公団中部支社に強く抗議する。

4.「環境保全対策」を口実にした事業費増額は許せない
 水公団は「環境保全対策費用」が嵩むことが、事業費膨張の大きな理由の一つだとしている。徳山ダム建設工事、及び徳山の地を湖底に沈めることが根本的な自然破壊なのである。そして水公団が宣伝するあれこれの「環境保全対策」なるものは、環境保全に本当に寄与するのかどうかの科学的検証もない。
@ 水公団が情報公開請求に応じて出してきた2002年度の「環境対策費用」だけでも疑問が多い。
 ア.「環境保全対策検討業務」(つまり会議)に5400万円を使っている。これを受託した「財団法人 ダム水源地環境整備センター」とは何者なのか?
 イ.「ワシタカ調査」(「調査」であって保全対策ではない)に8400万円。請負者は「国土環境株式会社」である。どういう会社なのか? 
 8400万円のうち、上期(4月〜12月)のワシタカ調査の費用は4400万円。このとき行われた現地調査は「355人・日」。ある程度の専門知識を要する調査とはいえ、日当が平均10万円ということでもないだろう。何に使われたのか?
A 「ありのまま残そう大作戦」と名付けて、「山林公有地化」をするという。これは、旧徳山村民の所有する残存山林について、「付け替え道路を作らず、付け替え道路整備費用で、近づけなくなる残存山林を県有地とする」というものである。
 この事業は強制収用はできない。全地権者の同意が得られなければ、「付け替え道路を作らない」で湛水することは法的に許されない。ずっと以前から残存山林問題について意見や要望を出し続けて来られた人々をも無視しての、一方的なやり方に、地権者たる旧徳山村民は怒っている。とても協力・理解を得られるような状況にない。にも関わらず、あたかも既定方針であるかのように言う姿勢は断じて許せない。まして「環境保全対策」の重要な柱であるかのうように喧伝するのは、噴飯ものである。

5.「想定外」費用支出のツケを回すな
 徳山村民の集団移転地として水公団が造成した文殊団地は、激しい地盤沈下を起こし、移転住民は再移転を余儀なくされた。水公団はこの移転補償が「想定外」だとしている。文殊団地はもともと軟弱地盤で知られている場所であり、造成当時から旧徳山村民は懸念を示していた。地盤沈下が起こったのは決して「想定外」ではない。懸念に対して根拠無く「大丈夫」として強行した当の水公団が、今は巨大ダムを建設するのである。どんな「想定外」が生じることか。そして、国交省は・水公団は、誘発地震の可能性についての指摘を無視し続けている。

 徳山ダム建設工事はいったん凍結し、改めて広範な人々の真摯な議論に付すべきである。
 木曽川フルプラン改定作業は、この7月4日に開始したばかりである。そして木曽川水系には新河川法に基づく「河川整備基本方針」も「河川整備計画」も存在しない。
 徳山ダム建設の是非は、フルプラン(利水)改定作業、「河川整備計画」(治水・環境)策定作業双方ともに、市民及び市民の立場に立つ専門家を加えた開かれた場を設け、数年をかけて議論するべきである。その結論が出るまでは、工事は凍結しなければならない。約束の2540億円を超えて建設費を投入してはならない。そして大型猛禽類保護においても、工事を止めて数年かけて調査しなければ、「保全対策」の立案すらできないのだから。
 利水者は今年度中の費用負担同意をしてはならない。今こそ徳山ダム事業から撤退せよ。



「会費」と「カンパ」 受付中!

徳山ダム裁判に原告として参加されている会員の方、本年度後半分(半期5000円)よろしくお願いします。一般会員の皆さんの会費やカンパも、常に受け付けております。


「徳山ダム建設中止を求める会」は、皆さんの支援で活動を進めています。


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