やめよ!徳山ダム No.49 (2002.12.13)

「根拠資料の存在は、調査しなければ分からない」=岐阜県水資源課

【前号までのあらまし】
旧木曽川フルプランは1985年改定予定であったが1993年になってようやく改定された。1999年に発見された文書にその経緯が記されているが、旧フルプラン予測と実績の大きな乖離(大幅な水余り)の「調整」が大幅な遅れの原因だったことが明らかになった。2000年を目標年次としたこのフルプランは「徳山ダム完成は2000年以降」としてその必要性が根拠づけられていない。そして2000年を過ぎてもフルプランは改定されていない。徳山ダムは法的根拠を欠いたまま進められている。水余りの木曽川水系でなお水資源開発が必要か、を追及すると国土交通省は「地元が必要だという」と言う。本当に地元は徳山ダム開発水を必要としているのか?その根拠は?
大垣地域1市13町は、徳山ダム開発水のうち1.5m3/秒を水道水として受水する予定となっている。私たちは今年(2002年)初めから、この14市町に、現在の水源で不足するという予測があるか、どの位の水を必要とするか、その負担をどう見積もっているか、を尋ねてまわった。14市町すべてが「不足するという予測はない」「県から何もきいていない。負担については全く分からない」とのことであった(「水源が複数あるのは良いことだ」「ダムは治水のために必要だ」というオマケつきだが)。
そこで9月に岐阜県水資源課に「大垣地域14市町の予測では徳山ダムの水は必要ないのだが、岐阜県は何を根拠に必要というのか?」と尋ねた。9月25日にその回答を受け取りに行くと「『平成6年岐阜県水資源長期需給計画』が根拠だ」との答え。「その『水資源長期需給計画』に載せた数値の根拠となったデータや予測方法を明らかにして欲しい」と言うと、2時間にわたっての完全な沈黙が「答え」だった。

以上、経緯のあと、水資源課から非公式に再度質問書を出して欲しい旨が伝えられ、11月5日に「当該文書にある『平成22年における(中略)一人一日当たりの平均給水量は467g、同じく一人一日当たりの最大給水量は645g程度になると予測される』、『大垣地域水道用水は、基準年に対して平成22年では60%(中略)増加する見込みである』の根拠を示すよう求める質問書を送りました。11月末にようやく返ってきた返事は「数値は、各水道事業者(市町村)ごとに積み上げた数値を元に作成されて市町村によって異なっており、一概に答えることはできません。また、根拠資料の存在は、調査しなければ分かりません」というものでした。一つの村を完全に潰し、一帯の生態系を壊し、何千億円もの公金を注ぎ込むダム事業の根拠は、存在すらも判明しない資料によっている、というのです。

揖斐川流域の市町村は住民の声も聞かず県の方ばかりに顔を向け、県議会は絶対多数与党(野党は1人)、県職員は知事の顔色を伺っている、という構図が見えてくるのです。「夜明け前」の長野県状態です。岐阜県にも早く夜明けを呼び寄せたいものです。

徳山ダム裁判・行政訴訟結審、住民訴訟も加速します

10月9日(水)に、行政訴訟(事業認定取消訴訟・収用裁決取消訴訟)は事実上の結審しました。原告側・被告側双方から同時に最終準備書面を提出し、原告(上田武夫氏・村瀬惣一氏)及び弁護団から口頭での意見陳述がありました。
この裁判を通して、原告側は「水資源開発公団を事業者とする水資源開発ダム・徳山ダムの受水予定地域において水需要が全く存在しない以上、当該事業認定は違法だ」と主張してきました。また、同時に徳山ダムによる「洪水調節」や「渇水対策」が無意味であり、失われる利益(環境など)が大きいことも明らかにしてきました。被告側は「事業の合理性・正当性を全面的に主張するというより、行政側に傾きがちな日本の裁判所の姿勢によりかかっています。土地収用法20条3号要件については「社会通念上著しく不相当な点があり、その裁量権の逸脱があったと認められる場合にのみ」違法となる、4号要件については「事業の推進について各自治体が望んでいるか、知事や議会の考えはどうかといったことも含まれる」「裁量行為であることは異論がない」というように。
裁判官がまともに公共性・公益性の中身を判断すれば、原告側勝訴となるはずです。それとも被告・国交省の論法に乗って「(問題は多々あるが)裁量権を大幅に逸脱し違法であるとまでは言えない」として国交省の側に立つのでしょうか。「お上がやるのだから間違いはない」という土地収用法の運用の現状を容認させてはいけません。
行政訴訟は、裁判所からの釈明、双方の準備書面の補充提出などを経て12月25日(水)10時に最終的に結審します。
一方、住民訴訟(公金支出差止訴訟)は、前回(10月18日)、裁判所が「行政訴訟の方が一段落したので、住民訴訟の方を加速したい」との意向を示しました。次回(1月17日(金)13時)には証人尋問の予定なども決めていくことになると思います。

12月25日(水)18時〜  すき焼きパーティー
   徳山ダム建設中止を求める会  忘年会
 会費2000円 (事務局近くの工場の食堂をお借りして行います)
 5〜6年前の徳山の様子や私たちの活動の様子を撮ったビデオの上映もあります。
 来年の運動方針なども一緒に考えましょう。多数のご参加を期待します。
 参加ご希望の方は,
  事務局(0584−78−4119)にご連絡を。

当会の財政状態が厳しくなってきました。来年の裁判費用が心配です。会費をお願いするには少し早いのですが、会費・カンパのお振り込みをお願いします。