やめよ!徳山ダム No.47 (2002. 8. 9)

   台風6号と徳山ダム

7月10日、テレビに「浸水している大垣市」の映像が繰り返し流れた。被害にあったの西端の比較的新しい住宅地・荒崎地区で、大谷川(揖斐川の支流である牧田川の派川)右岸の「洗い堰」からの越流が原因である。翌11日、西濃地域選出の県議会議員らが「徳山ダム早期完成」を梶原拓・岐阜知事に要望した。16日、知事は「徳山ダムの前倒しを水資源開発公団に折衝したい」と発言。徳山ダムが完成したら今回の水害は防げたと言いたいらしい。
しかし、今回豪雨に見舞われたのは中流部で揖斐川に合流する根尾川、牧田川の流域だった。揖斐川本流最上流部の徳山ダム集水域では大した雨は降らず、根尾川合流部より上の岡島地点ではピーク時でも水位は高くなかった(2.32m。計画高水位5.33m)。また大谷川の越流は本川の増水よりずっと早く始まっている。揖斐川本川最上流部に巨大ダムを造っても、今回の水害は防げなかったことは明らかである。

   恒例・徳山村キャンプ

            8月24日(土)・25日(日)
昨年は50人もの参加を得て賑わいました。今年も大規模なものになりそうです。
  8月24日(土) 13時 大垣駅北口出発
           13時30分 揖斐川総合庁舎駐車場 出発
    25日(日) 午後早く大垣に帰着できるように現地を出発
  参加費:3500円(24日夕食・25日朝食:子供は無料)
 参加ご希望の方は、事務局に電話でご連絡下さい。参加者の氏名も把握したいので、よろしく。  0584(78)4119(FAX兼)近藤方

新聞・放送が伝えるように、もともと浸水域は遊水池だったところで、そこを大垣市や岐阜県が率先して住宅開発し、市街化区域にしてしまったところに間違いがある。人災である。
大谷川は県が管理している河川だ。梶原知事は建設省官僚として岐阜県に何度か出向し副知事を経て知事になったのだから、大谷川洗い堰と荒崎地区の市街化の事情は把握している筈で、何も対策を講じて来なかった責任がある。それを頬かむりして「地元が徳山ダムを要望している、早期完成を」とは、「問題のすり替え」と言われても仕方がない。

当会運営委は、「要らない水道水は返上して」という要望をもって地元自治体をまわり終えたところだが、町長達は要らない水の分の建設費を負担させられることについて何の認識もない。そして二言目には「徳山ダムを早く造ってもらわないと、住民の生命と財産が守れない」という。揖斐川流域の市町の首長や自治会、水防団などは「揖斐川の治水は、徳山ダムができなければ他のことは何もできない、徳山ダムさえできれば安心だ、と国や県が言っている。」と信じている。「だから早くダムを完成してほしい」。
しかし、国道交通省や水資源開発公団が出した資料にはそういう文言はない。「揖斐川の治水計画は徳山ダム建設を前提としたものになっている」と説明しているだけだ。(なるほど事業主体の水公団は国の計画に従ってダムを造るのが仕事であり、計画そのものを検討する立場にない。開発水が要ろうが要るまいが、イヌワシやクマタカがどうなろうが、ダム工事を進めるというわけである)。そこで市民の側が「国交省の出した数字や方式を使っても、より良い代替案があるではないか」と国交省に突っ込むと、「6億6千万トンの徳山ダムを造ることになっているから他の方法より経済的だ」とかわし、「徳山ダムは地元が熱心に要望しているから造る」と言い募る。国と県が巧妙に「地元自治体の要望」を作り出し、批判に対しては「地元の熱い要望」を理由にはねつける。
 「百害あって一利なし」の公共事業はこうして推進される、という典型である。

 徳山ダム裁判予定

◎ 行政訴訟(事業認定取消訴訟・収用裁決取消訴訟)
 次回は 10月9日(水) 原告側・被告側双方から同時に最終準備書面を提出する。
この日、原告(上田武夫・村瀬惣一)及び弁護団からの意見陳述もある。是非傍聴を。
 このあと(最終準備書面に裁判所が目を通してから)、双方に質問をする期日を1回とって、結審する予定とのこと。結審は年末か。
◎ 公金支出差止訴訟(住民訴訟)
  次回 9月6日(金)14時30分  /次々回   10月18日(金)16時

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