<大垣市水道料金の試算>徳山ダム開発水を受け入れた場合


1.水源費及び諸施設の設備投資

@徳山ダムから岐阜県が取得する1.5m3/秒の水道水の負担分は41/1000。
徳山ダム総事業費を2,540億円(1985年)とした場合、水源費負担金は約104億円。水道水は国からの補助金が1/3あるが、22年償還で金利が加わるので126億円になる。

A徳山ダム建設費は本体着工前までに80%以上使ってしまっているので、2,540億円では済まない。最終的に総事業費は3,500億円〜4,000億円程度に上ると思われる。このように事業費が膨れ上がった場合の水源費は170億円〜200億円ほどになる。

B徳山ダムの水を水道水として使うためには、揖斐川から大垣地域1市13町に水を引いて供給する施設が必要となる。
長良川河口堰を例にとると、導水事業のための追加投資は、愛知県が328億円、三重県中勢(45km)が754億円、北勢が474億円。長良川河口堰の場合は取水施設には新たな投資はなく、また愛知県の場合は既設の浄水場までの導水事業である。
徳山ダムからの水の取水施設の位置を大垣市北部辺りと考えると、関ヶ原方向に約20km、海津方向に約30kmの導水施設が必要である。また徳山ダム―大垣地域の場合は、取水施設、導水施設、浄水施設のすべてを新設しなければならない(*)。このため控えめに見積もっても600億円〜700億円程度の追加投資が必要となる。
 *:既設の西濃用水の取水施設が利用できるとすると、取水施設費用は安くなるが、導水距離が長くなる。
これら追加投資は、通例、30%が国の補助、40%が起債、30%が自己資金。@の水源費と同様、補助金を引いても金利(20年償還として)が加わると、もとの1.2倍ほどになるので約720億円〜840億円。

Cよって水源費負担分と追加投資で合わせて890億円〜1040億円。
これを給水人口32万人で割ると、一人当たり28万円〜32万円。

2.大垣市の場合
28万円〜32万円/人×給水人口14万4000人=400億円〜460億円
400億円〜460億円÷(年間給水量2200万m3×20年)=91円〜105円/m3

一般的な水道事業において、料金中に占める固定資産の割合は1/3程度。
従って、1m3当たり273円〜315円の値上げとなる。
現行料金の90円/m3が360円/m3〜405円/m3に、つまり4倍〜4.5倍となる。
大垣市の1人1日平均給水量は416g、2ヶ月で約25m3。
すなわち、2ヶ月分(*)で、1人当たり6,800円から7,900円の負担増。
4人世帯で27,000円〜32,000円の負担増となる。
*:大垣市水道料金の検針及び請求は2ヶ月毎。


大垣市への申し入れ (2003年1月27日)

      徳山ダムから受水する場合の大垣市の水道料金の試算について

 大垣市長 小川 敏様

                             徳山ダム建設中止を求める会

1月21日に、担当者の方にお伝えした通り、推測をまじえて水道料金を試算してみました。

大垣市は、これまでに徳山ダムから水道水を受水することについて、「今のところ必要だという予測はない。具体的な計画はない」とされています。その一方で、私たちが2002年1月に実施した水受給計画についてのアンケート調査に対し、「長期的展望に立ち揖斐川の取水権を確保していこうとするものであります」と回答され、それより先の2000年5月には「計画はないが、水利権は確保する」、「応分の負担はする」とされています。
しかしながら、「応分な負担」とはどれほど規模を指すのかということについて全く明らかにされていません。行政当局自身が負担の多寡が分からないまま、具体的な必要性が全く存在しないものについて、「確保する」という結論だけがあるのは、行政としてあまりにも無責任だと私たちは受け止めています。いくらお尋ねしても埒があかないので、私たちなりに試算してみました。
「徳山ダムからの水道水が要る」と主張される岐阜県水資源課、水道事業者としての大垣地域1市13町のどこを尋ねても試算の資料となるべき数字を示して頂けなかった(1−@部分のみ1996年に岐阜県水資源課より聞き取り)ので、他の地域の事業等を参考にしながら試算してみました。
試算によれば、徳山ダムの水を使うことになると、1m3当たりの水道料金が現行料金の4〜4.5倍になるという恐るべき結果となります。私たちの試算・評価が「当を得ておらず再検討が必要だ」という場合には、具体的に「ここの数字はこうなる。ここの計算はこうするべきだ」とご指摘下さい。大垣市の方から根拠ある数字が示されない限り、市民にはこの試算を、大垣市が黙示的に認めたものとして伝えていくしかありません。「徳山ダム建設中止を求める会はウソを言う」と言われても困ります。市民を混乱させないためにも(仮定・未定部分に幅があるにせよ)数字をもって住民負担の大きさを示して下さい。
そうでなければ「大垣市は徳山ダムの水道水を確保する」という姿勢を改めて、「徳山ダムからの受水については全く白紙である」とする旨を、市民及び県に対して明らかにされるよう求めます。