国土交通省は、全国主要河川の水資源開発基本計画（フルプラン）を、０４年度内に見直し、全国の主要７河川の水系では新たな利水ダムは計画しない方針を固めた。大都市圏では今後需要が大幅に伸びる見込みがないため。ただ、現在建設中のダムは将来の水需要や治水上の観点から必要として事業を継続し、現状を追認した見直しとなる。

　フルプランの対象となっているのは、利根川、荒川、豊川、木曽川、淀川、吉野川、筑後川の７水系。０２年に計画が見直された吉野川以外の６水系は００年度の計画目標を過ぎたが、流域自治体の水需要見通し策定が遅れ、計画見直しが進んでいない。

　国交省は吉野川水系以外の６水系の流域自治体に１５年度の水需要予測を提出させ、０４年度中に各水系のフルプランを見直す。まず１３日に開く国土審議会水資源開発分科会で木曽川水系に関する計画を見直す。

　水需要の予測値は既存ダムや建設中のダムによる供給可能量とほぼ同程度に調整される見通しで、「建設中のダムは必要」との判断だ。建設中のダムには自治体が水利権の一部返上を表明しているものもあるが、水利権返上分に合わせて減らした供給可能量と需要予測をできるだけ合わせる方針。このため、建設の是非を巡り議論となっている八ツ場ダム（群馬県長野原町）や徳山ダム（岐阜県藤橋村）など建設中の１４カ所の利水ダム事業などは続ける。

　現行のフルプランは８６〜９１年度から００年度までの水需要を予測し、ダム建設を計画していた。しかし近年、利根川・荒川水系では戸倉ダム（群馬県片品村）が、埼玉県や東京都などが水余りを理由に事業撤退を表明し、０３年１２月に計画中止。木曽川水系では建設中の徳山ダムを巡り、愛知県や岐阜県、名古屋市が水利権の一部を返上するなど、全国各地で「水余り」の状況が顕在化している。

　全国の水使用量は９１〜９２年の８９４億立方メートルをピークに減っており、００年は８７０億立方メートル。農業用水はほとんど横ばいで、再利用が進んでいる工業用水は実質減少、生活用水は９０年代前半まで増加傾向だったが、その後は横ばいだ。 (04/06 06:44)