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徳山ダム裁判 不当判決 2003年12月26日 岐阜地方裁判所(林道春 裁判長)

「いずれも却下する。訴えを却下する。いずれも棄却する。いずれも棄却する」――。

岐阜地方裁判所法廷棟3階、第一号法廷。原告、被告の代理人、傍聴者がそれぞれの席に着き、その背後に報道陣が並んでいた午前9時44分、一瞬、静まり返ったと思われた間際、判事二人を伴い林道春裁判長が入廷。「起立」の合図に廷内の全員が礼をして着席した。予定通り、報道カメラは裁判長らを撮影して2分間が過ぎた。この間、林道春裁判長は落ち着きを著しく欠き、視線を右に左に忙しく移動させ、これまでの審理のときとは別の表情を見せていた。少し顔は紅潮していたかもしれない。そして、手元の原稿に目を落として、かなりの早口で一気にまくし立てた。メモを取ろうとするがとても間に合わない。「判決の主文。原告らの被告岐阜知事及び岐阜県出納長に対する訴えのうち、平成10年6月から平成15年3月までにされた徳山ダム建設事業費負担金の支出命令及び支出並びに平成43年4月以降にされる徳山ダム建設事業費負担金の支出命令及び支出の差止めを求める訴えをいずれも却下する。原告らの被告梶原拓に対する訴えのうち、平成2年6月から平成9年12月までにされた徳山ダム建設事業費負担金の支出に係る損害賠償を求める訴えを却下する。原告らの被告に対するその余の請求をいずれも棄却する。訴訟費用は原告らの負担とする。次に事業認定事件。原告らの請求をいずれも棄却する。訴訟費用は原告らの負担とする」と、後で閲覧した判決文書によればそう告げたようだった。林道春裁判長は、苛立ちや興奮を抑えようとしても抑えきれず、いつもとは違った甲高さで、予定していた原稿を読み上げただけだった。「以上です」と言ったようにも思えた。ただ耳に残ったのは――、「いずれも却下する。訴えを却下する。いずれも棄却する。いずれも棄却する」という言葉だった。林道春裁判長の発言はほぼそれで全てのようだった。廷内はどよめいた。判決言い渡しの役目を終えた3人は、どよめきを避けるようにあっという間に法廷から去った。その裁判長の後姿はいつもより小さく思えた――。 「不当判決」だった。

― 判決文書抜粋 ―

判決要旨

○ 行政訴訟

平成11年(行ウ)第6号事業認定取消請求事件(以下「甲事件」という」)
平成13年(行ウ)第11号収用裁決取消請求事件(以下「乙事件」という)

主文

1 甲事件原告ら及び乙事件原告らの請求をいずれも棄却する。

2 併合前の甲事件における訴訟費用は甲事件原告らの負担とし、その余は甲事件原告ら及び乙事件原告らの負担とする。


○ 住民訴訟

平成11年(行ウ)第4号 公金支出差止等請求事件

主文

1 原告らの被告岐阜知事及び同岐阜県出納長に対する訴えのうち、平成10年6月から平成15年3月までにされた徳山ダム建設事業費負担金(工業用水分)の支出命令及び支出並びに平成43年4月以降にされる徳山ダム建設事業費負担金(工業用水分)の支出命令及び支出の差止めを求める訴えをいずれも却下する。

2 原告らの被告梶原拓に対する訴えのうち、平成2年6月から平成9年12月までにされた徳山ダム建設事業費負担金(工業用水分)の支出に係る損害賠償を求める訴えを却下する。

3 原告らの被告に対するその余の請求をいずれも棄却する。

4 訴訟費用は原告らの負担とする。

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