抗 議 声 明
まさに 「泥棒に追い銭」 の来年度概算要求に抗議する
河川行政の決壊を許さない
徳山の森を守り、川を住民の手に取り戻そう
2004年8月26日
徳山ダム建設中止を求める会(代表:上田武夫)
国交省及び水機構は、8月26日、来年度の徳山ダム建設事業費概算要求を311億2200万円とする旨を発表しました。7月15日に、事業費960億円増額を盛り込んだ、河川法脱法による事業実施計画変更認可が行われたことを考えれば、「2007年度完成」に向けて毎年三百数十億円の公金が投じられていくことは予測されたことではあります。しかし、皆様、思い出して下さい、徳山ダム事業はの当初計画では「総事業費330億円」だったのです! いつのまにか10倍にも膨れあがった要らないダム−徳山ダム。透明性・公開性及び説明責任のかけらもない「河川官僚独裁」剥き出しのこの概算要求(以下に詳述)に強く抗議します。
7月15日、国交大臣の徳山ダム事業実施計画変更認可によってし、財務省の要求する「所定の手続き」は一応済みました。しかし、参院選後の臨時国会に補正予算案が出されませんでした。
8月初旬、「徳山ダム工事現場の昼夜を分かたぬ突貫工事ぶりを見ていれば、93億円はもう使ってしまったはずだと思う。どうやって今後のお金を出すのですか?」と素直に国交省に訊きました。「治水事業予算の中で・・・。私は財政の方は詳しくないので、細かいところが分からない。調べておきます」とはっきりしないお返事。
8月17日の新聞に「 徳山ダム建設費47億円を上乗せ・残りは来月以降に」という記事が出ていたので、さらに訊くと、「よく分からないのですが・・・」という留保つきで、「治水特別会計というのがあって河川局が管理している。一応箇所付け、使い途(工事費なのか、測量費なのか、というような)が決まっているが、実際に仕事をするとそんなにぴったり行かないので、所定の手続きを経て、『流用』『移用』する。地整の中の河川を越えた流用等はよくあることで、地整を超えて動くこともある、所定の手続きがより複雑になるが。徳山ダムの追加予算の場合−多分『移用』−、国交省河川局内部だけの手続きでは済まず、財務省とも協議の上、手続きをしているはず。すべて財政法に則って行われている。会計検査院がしっかりとチェックできるように透明性は確保されている。また徳山ダムの場合、当初から『所定の手続きを経れば追加予算措置を行う』となっていたので、問題はない」とのこと。
国交省と財務省との間でどんなに複雑な手続きをとろうと、私たち納税者及び有権者には関わりがありません。
国会承認を得た「予算」では「04年徳山ダム事業費は93億円」でした。それを超えて支出するなら改めて国会承認(補正予算)を得るのがスジというものです。「当初から『所定の手続きを経れば追加予算措置を行う』となっていた」・・・予算書の片隅にそう書いてあるのかもしれませんが、だからと言って、国交省と財務省のやりとりだけで追加予算をどんどん決めて行くことができる、という仕組みはおかしい。
どうやら、「治水特別会計の中で『流用』することはよくあること」。膨大な「治水関係事業費予算」の仕組みがそうなっているようです。これでは財政民主主義がすっぽ抜け。河川局内での「流用」勝手な特別会計を法律で作ってしまい、その仕組みを何十年も維持してきたことに驚きを禁じ得ません。財
政民主主義がないがしろにされ、官僚独裁を財政的にも支えてしまう「仕組み」がまた明らかになりました。
改正河川法を脱法して「揖斐川の治水計画」を「一層の徳山ダム頼み」という怖いものに(事実上)変えた上で行った「徳山ダム事業実施計画」変更です。そこに積み重ねたこの「流用」という追加予算。まさに「泥棒に追い銭」です。
その追加予算の仕組みと財源(どこの事業費から「移用」「流用」したか)の説明を求めているさなかの来年度概算要求です。
当初予算を幾らにしようとも、「治水特別会計(「治水特別会計法」参照)の中の移用・流用」で当初予算の2倍額近くも執行できるなら、来年度概算要求などどうでも良い、当初予算での「箇所付け」に大した意味はない・・・。
こうなってしまったらまさに「決壊」です。
こうしている間にも、イヌワシ・クマタカを頂点とする徳山の自然生態系は脅かされています。巨大な人造湖が出来てしまえば、取り返しのつかない自然破壊となります。
そして徳山ダム湛水が大地震を誘発するという懸念は少しも払拭されていません。(9月14日は、牧尾ダム湛水が誘発したという可能性が否定できない1984年長野県西部地震から20年目になります)
2007年に徳山ダムを完成させなければならない理由は何もありません(利水は需要がなく専用施設計画もありません。発電も早くて2014年まで行われません)。
国交省徳山ダム建設工事を直ちに凍結させ、改正河川法16条の2の趣旨に則った河川整備計画を策定せよ!
工事を凍結した環境下で、まともな環境アセスメントを行え!
川は流域住民のものであり、広く全市民のものであり、国交省や関係県市の役人・首長のものではない。川を私たち市民の手に取り戻すため、全国の心ある市民の方々とともに私たちはなお闘いを続けます。
以上
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