徳山ダム建設中止を求める会・事務局ホームページ


名古屋市議会・経済水道委員会 請願審査

請願、採択せず、保留扱いに――。名古屋市議会の経済水道委員会は2月20日午前、「革新市政の会」が去年秋に提出していた「徳山ダムの事業費追加負担に同意しないことなどを求める」請願について審査を行った。先ず、「請願」の趣旨説明が行われたあと、市当局は徳山ダム事業の概況と市としての対応を委員に説明した。質問は村瀬たつじ議員と斎藤亮人(まこと)議員が中心になって進められ、市の担当部局がこれに答える形で行われた。冒頭、村瀬氏の「名古屋市は徳山ダム事業費の追加負担の同意をしていないが、(水資源)機構にいつまでに回答するつもりか」と市側の対応を質したのに対し、当局は「事業費増額の中身には現在、協議中である。(国の)予算がつかないことを想定していない」と説明した上で、「予算がつかなければ建設中断もあるのか」との質問に対して「当初計画算定事業費の残額分だけで工事が進められることはないとは考えているが、ストップということも推察される」との見方を示した。また、名古屋市が徳山ダム事業から撤退する可能性について、市当局は、去年暮れ、言い渡しのあった徳山ダム裁判の判決をもとに考えれば、「撤退はない」とする立場を鮮明にした。その一方で、いわゆる撤退ルールによって、名古屋市単独ででも撤退はできることは確認した。この後、斎藤議員は、新たな水需要予測は年度内にまとめることを重ねて確認させた上で、市が水資源機構に対し求めている追加負担に係る『100項目の質問』は年度内に結論を得られるのかとの質問に対し、市側は、「水需要予測とは別の問題で、増額の中身について協議している最中だ」と突っぱね、その期限さえ設定していない、として説明を拒んだ。

平成15年請願第52号

徳山ダム事業からの撤退及び事業費の追加負担に応じないことを求める件

請願者 革新市政の会

要  旨

 徳山ダム建設の事業費が2540億円から3550億円に1010億円も上乗せになることが明らかになった。国土交通省中部地方整備局の第三者機関である事業評価監視委員会では、事業費の追加負担が妥当かどうか審議しており、その成り行きは名古屋市、愛知県、岐阜県、三重県及び発電事業者の態度によって、事業の継続・中止を決めるとされている。
 また、独立行政法人水資源機構法によれば、事業実施計画の変更時には利水者から意見聴取するとともに、費用負担のづいを得なければならないとされており、利水者である名古屋市の態度が大きな影響を与えることになる。
 水需要見通しのない水余りのもとで、市民に莫大な負担となる徳山ダムはむだと浪費の公共事業である。事業費の変更に伴う自治体への追加負担は市民の合意を得られるものではない。
 長引く不況により、市税収入は落ち込みが激しく、加えて市債残高が3兆円にも達する中で、市財政は危機的な状況にある。名古屋市は市民の暮らしを守り、福祉を増進するという自治体としての責務を果たす上からも、これ以上むだな大型公共事業を推進することは改めるべきである。
 ついては、次の事項の実現をお願いする。

  1 徳山ダム事業から撤退すること。
  2 徳山ダム建設事業費の追加負担に応じないこと。

この問題で、郡司照三委員はさらに「名古屋市がどういう質問を機構側にしているのか、『100の質問』についての内容を早期に、すべてを明らかにするよう激しい調子で迫ったところ、当局は@「山林公有地化」について額が大きく判断に苦慮している、A旧徳山村の人たちの再移転の補償問題で協議が難航している、という2点を明らかにした。締め括りに斎藤議員は「徳山ダム事業の増額は水道料金に跳ね返ってくる。その料金引き上げ分についても市民に説明できる回答を用意しているのか、と質し、増額に同意しようとしまいと徳山ダム事業の負担は発生する。こうしたことをもっと名古屋市民に説明しなければならない、と市側の努力を改めて求めた。最後に委員長は、請願の採択を要求する委員の意見を退けるように、今回の審査の結果として「(徳山ダム事業増額問題は)今後の進捗状況を見守り、本件は保留とし、引き続き協議していくこととしたい」とのとりまとめを表明し、閉会した。事実上の「請願」不採択で、名古屋市議会は問題を先送りした。

2004.2.20編集


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