徳山ダム建設中止を求める会・事務局ホームページ


岐阜県議会会議録 徳山ダム問題関連抜粋

2003年10月 1日 平成15年 9月定例会

質問:山下運平 議員
次に、徳山ダムについてであります。
 本年八月八日、水資源開発公団は、徳山ダムの事業費を現行事業費の二千五百四十億円にさらに千十億円増嵩すると公表いたしました。
 我が自民クラブとしては、徳山ダムについては、予定どおり平成十九年度の完成をぜひともお願いするものでありますが、今回の事業費改定につきまして、さきの六月議会の我が自民クラブの代表質問の中で、知事の基本的な考え方をお聞きしたところでございます。それによりますと、事業費の増嵩は最小限に食いとめる、負担についても、財政逼迫の折無理のないようにする。事業費の内容について点検し、関係三県一市で協議し、年末の予算編成までに結論を出したいという内容でありました。
 そこで、知事にお尋ねいたします。その後、どのような検討がなされ、今後どのように対応していかれるのか、お伺いをいたします。
答弁:梶原拓 知事
 事業費の増加についてお尋ねでございますが、いわゆる単価の増というのも、何せ十八年たっておりますから、これはやむを得ないことである。それから、国道のつけかえですね。これも大きな金をつぎ込んでおります。それから、景観対策とか水質対策で大きなお金を使っている。あるいは、阪神淡路大震災を契機により地震に強いように設計変更したとか、中身を個々に見るとなるほどというのもたくさんございます。でございますが、私どもとしては、より精緻に事業費の内容を点検しておりまして、九月十二日に公団に対しまして、大きな項目で七十五項目、小項目にいたしますと約百七十項目にわたりまして、公団に対して質問、疑問点の提示をいたしております。そのようなかつてないきめ細やかな事業費の詰めをいたしまして、その結果三県との協議に入りたいと、かように考えております。
質問:不破照子 議員
次に、徳山ダムに関してお尋ねいたします。
 水資源開発公団は、八月八日、建設中の徳山ダムの総事業費を一千十億円追加し、総額三千五百五十億円に変更すると発表いたしました。現在の総事業費二千五百四十億円は、昭和六十年度の単価を基準としながら、今回の追加額の一千十億円はそれの約四〇%増ということで、とても驚いています。普通の工事ではとても考えられない追加額ではないかと思います。変更原因といたしまして、一つ目に、環境・安全対策として、環境保全の観点から工事の見直しをしたり、地震対策に対する基準が大きく変わってきてしまった。二つ目に、工事・補償関係では、全村水没で補償交渉がとても難航した。そして、施工計画の変更があった。三つ目に、社会経済的要因といたしまして、物価の変化による単価の上昇、また、消費税が新しく導入されたを挙げていますが、なぜ今ごろの発表になったのか。現在の事業費二千五百四十億円の残額が十五年度末で九七%支出済みとなり、残額約九十億円を残すのみとなり、十九年度の完成までにまだ四年余りありますので、あわてての追加額を発表せざるを得なかったのかとさえ私は思います。私たち県政民主党は、事業費は現予定額では到底できないと予測されるので、早く提示できないかと言ってまいりました。この間、県は「水資源開発公団がすることですので」と言い続けるばかりでした。知事さんは、公団に対し、本当に申し入れなどされていたのでしょうか。今回の事業費変更に伴う岐阜県の負担額は、現在の負担割合二〇・四%で計算しますと二百六億円になり、現在の負担額五百十八億円を合わせますと、県の負担総額は七百二十四億円になります。この財政状況厳しい中、二百六億円余の負担は大き過ぎるのではないでしょうか、今回の一千十億円の追加額も平成十五年度の単価を基準としたものであり、十九年度完成までにまだ四年もございます。また見直し変更などということはないだろうかと心配になってきます。この追加負担分は私たちの税金の投入や水道料金の値上げで賄うことになることでしょう。
 徳山ダムは、昭和五十一年、事業実施方針の指定を受けて、六十三年、事業実施方針の変更の指示があり、そして、その中でやっと総事業費二千五百四十億円で平成九年度に完成予定といたしました。平成九年、また事業実施計画の変更があり、工期を十九年度に延ばしただけで事業費はそのままでございました。平成十三年、事業評価監視委員会の審議で「事業は継続」と決定されております。事業計画や事業費に大幅な変更が生じた場合、事業を継続するか、費用対効果を考え、事業を中止するか工事を中断して事業の妥当性を再検討するのが通例で、今回のように巨額の上積みを求める以上、こうした手続は不可欠であると思います。十月九日に、追加の是非を審議する国土交通省中部地方整備局の第三者機関「事業評価監視委員会」が開かれる予定のようですが、どんな評価が出されるでしょうか。ダム事業は五年ごとに再評価を受ける仕組みになっています。しかし、十三年に徳山ダムは評価監視委員会が開かれ、「事業継続」としているにもかからわず、二年足らずで今回の再評価の対象になるのは異例であります。知事さんも「本来は三年とか五年ごとに中間的に補正すべきで、そうすれば、事業の圧縮などをその都度議論できたと思う。進捗率を言っても実態に合っていないから、ぴんとこないというところにいろいろな問題があった」と指摘されておりますが、気がついておられたのなら、なぜ早く公団に申し入れをされなかったのでしょうか。事業の再評価で、中部国際空港ではターミナルビルの再評価などをして一千二百四十九億円もの削減を生み出しています。これは大型事業見直しのよい例ではないかと思います。徳山ダムにあっては、ダム本体が修正されたということはないのです。
 一方、利水面でも不可解なことがあります。愛知、岐阜両県では、一日約二百九十万立方メートル供給できるとなっていますが、実際の使用量はここ三十年間二百万立方メートル前後を横ばいで推移し、水余りは確定的なものと思われます。しかし、公団は、異常気象などを挙げ、利水から治水へと振りかえ、正当化しようとしています。大阪の太田知事さんが、「国土交通省などが計画している淀川水系の丹生ダムと大戸川ダムの事業からの撤退を討論している」と発表されています。英断に私は期待しているところでございます。さきの全国知事会でも、国直轄事業の自治体負担金の廃止・縮減を求める緊急決議がされております。そこで知事さんには、この徳山ダムの一千十億円の追加事業費の精査が終わり、利水量の見直し等が確定するまで、ダム工事の一時凍結を強く公団に申し入れていただきたいと思います。
 また、「木曽川水系における水資源開発基本計画需給想定調査」、いわゆるフルプランの基本調査でございますが、国土交通省水資源計画課よりこうしたものが来ていると思いますが、関係市町村への調査状況など、また、その作業はどの程度進んでいますか。また、平成二十七年度の需要想定値はどのくらいと予想されているのか。以上二点を知事さんにお尋ねいたしたいと思います。
答弁:梶原拓 知事
徳山ダムのお話がございました。徳山ダムの事業が進捗いたしまして、平成十八年度の台風シーズンには試験湛水を始められるようにということで、事業を進めてもらっております。もしそのとおりまいりますと、来年、再来年、その先ですか、十八年の台風シーズンには試験湛水を始めますから、仮にそこで異常な大雨が降っても、大垣市、その他流域の市町村に被害が出ないと、こういうことです。現在は、長良川、木曽川、それぞれ四十年に一回の大出水には耐え得るということになりました。長良川も河口堰ができまして、この県庁の建物の百六十杯分の土砂を下流から取りました。したがって、過去であれば大きな被害になったというような大出水のときでも比較的安定しているという状況にあります。残るのは揖斐川でございまして、揖斐川は、長良川あるいは木曽川が四十年に一回の大出水に耐え得るということに比べまして、揖斐川はわずか十五年に一回の大出水に耐え得るだけということでございまして、ことしは幸い台風シーズンは終わらんとしておりますが、来年、十六年、十七年、何とか大きな出水がないようにということを祈っております。それが終われば、十八年の台風シーズンからは、枕を高くして寝れると、こういうことでございまして、あとわずかの期間でございまして、お互いに力を合わせて事業の計画どおりの完成を願っていきたいと、こんなふうに思っております。
 そのような事情でございますので、大垣市を初めとする下流四十四万人の地域住民の方々の結集として、「揖斐川流域住民の生命と生活を守る市町村連合」というのがございます。その強い御要望によって、これまで県も事業の進捗を図ってまいりました。流域の方がこんなものは要らないということであれば、県もさっさと手を引きたいと思っております。それが岐阜県の当事者主義というものでございまして、地域住民の方々が自分の、あるいは自分の家族の生命にかかわることでございまして、まず御自分たちがそういう事業は要るか要らないかということを判断していただきたい。そのお考えを県は最優先するということでございまして、これが岐阜県流の当事者主義でございます。もし要らないということであれば、責任もとってもらう。それによって被害が出ても、それは地域住民の自己責任である、こういう立場でございまして、その当事者主義と、自己責任ということでございまして、要らない要らないと言って、それじゃもし災害が起きたときにだれが責任を負うか、そのことを明確にしておかなきゃいけないということです。無責任社会ではいけないということです。自己責任社会です。責任を明確にするということでございます。ということで、あくまでも流域の住民の皆さんの御意見を最優先として進めてまいりたいと思います。
 それから、事業費がふえたというお話がありますが、これは、今精密にその内容を精査いたしまして、水資源開発公団に約百七十項目の質問を突きつけまして、その結果を待っているということでございます。その内容の精査を待って、どうするか、愛知・三重・岐阜三県で協議してまいりたいと思います。
 御質問の中に、工事を一たん中断したらどうかというお話でございますが、これは今申し上げたように、ようやく平成十八年の台風シーズンに試験湛水によって水害から守られようとしているというときに、大垣市民を初め流域四十四万人の方が、一年間工事を凍結しようかというお気持ちになられるでしょうか。お金もそのために一年間工事を引き延ばしすると、事業費が約六十億円ふえます。その負担をどうするんですか。そのことをよく下流の住民の方々で議論していただきたいというふうに私は思います。その結果、我々が進めている方針と違う方針が出てきたら、それに従いたいというふうに思いますが、それまでの間は、流域住民の方々の命を守るために、既定方針で私たちは事業を進めてまいりたいと、かように考えております。
 それから、水資源開発基本計画についてお尋ねでございますが、これから水の需要と供給を異常気象という過去では想定できなかったような事態を想定しながら、県民の生活を守るという究極の目的に向かって、計画づくりをしていきたいというふうに思います。いざというときにも、十分な水があると、十分な水が使えるということにしなきゃいけませんし、もちろん、水害を防止しなきゃいけない。そういう前提でこれから作業をしてまいりますが、数字がどうだこうだというのは、まだ申し上げる段階ではございません。

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