徳山ダム建設中止を求める会・事務局ホームページ


愛知県議会会議録 徳山ダム問題関連抜粋

2003.12.04 平成15年11月定例会

質問:加藤精重 議員(自由民主党)
私は、知多半島の飲み水が長良川に切りかわった平成十年から毎年一回、必ず水道や水源について質問をしてきました。なぜ私がこの問題に取り組むようになったかというと、すし屋のおやじさんが「おい、精重君、水が変わったな」と。私は早速県に確認しましたところ、「過去にそういう取り決めがあってかえました」とのことでした。
 河口堰へ行ってまいりまして率直に感じたのは、透明度が五、六十センチ、そして一方、今までの取水口を見ますと、五メーター下の石段の色、形までくっきりとわかる。少し水質に問題があるのではないのかなと、そんな思いで、私はまず初めに、水質は大丈夫かとの問いに対し、国の定める水質基準の範囲だから大丈夫との回答でありました。
 次に、下水処理水が木曽川に対して長良川は約十倍多く流入しているので、環境ホルモンや農薬が心配だ。環境ホルモンとは何ぞや、内分泌攪乱物質。言いかえるならば、生殖機能の低下であります。私も近年めっきり低下してきたんですけれども、そういうことではなく、防腐剤等々を多く含んだものを摂取すると、二十代の精子と田舎の人の五十の人の精子の数が一緒。結果的に、赤ちゃんができにくくなる。それが環境ホルモンでありますが、その問いには、県下ナンバーワンの立派な粉末活性炭施設でほかの浄水場より九・六倍活性炭を使用しておるから、浄水処理施設で十分な対応が可能との答弁でありました。
 また、別の機会では、知多半島の先人たちによる多大な尽力により愛知用水ができたものでありますが、我々と同じく水利権のない愛知用水上流の県民がみんな飲んでしまい、下流は干上がりからから、そして長良川。知多半島の住民感情を考えると、知多半島の飲み水が専ら長良川河口堰を利用している現在の水源状況は、どうも釈然としないところであります。
 私は、その後も水質事故や地震防災対策など絡めて、今までいろんな角度から水源の切りかえや相互融通などについて質問してまいりました。しかしながら、水利権において用途変更や区域変更ということは、浄水場内のバルブをあければ済むということが大変難しいようであります。
 さて、本題の水道の安全・安定といったことについてでありますが、半年ほど前のことですけれども、NHKのテレビにおいて、福岡県のある浄水場で築後川に流入する農薬の検査について、個々の基準を守るだけではなく、決められた農薬すべてを検査して、総量で判断しているとの報道がありました。さすが福岡県だと。私が思っておること、水質検査に対する考えが全く一致しておると考え、早速個人視察で築後川の浄水場へ行こうと福岡県庁へ打診したところ、何を言っておるだと。愛知県でも、国の制度が変わったから、検査基準が変わったから一緒ですと。がくっと拍子抜けで、きょう、この一般質問に立っておるわけであります。
 またもう一方、水道の安定した供給についてでは、平成六年の大渇水以降、味噌川ダムや長良川河口堰の水が確保されたので、平成六年のような断水の事態にはならないものと思いますが、世の中では地球温暖化や全国的な少雨傾向などの現象が問題視されており、さらには東海地震や東南海地震などの大地震の発生を考えると、ライフラインとしての水道の安全・安定対策の強化、とりわけ安定した水源の有効利用や相互融通などについて常に関心を持って取り組んでいかなければならないと考えております。それで、水の安全・安定を確保する観点から、水の安全、すなわち水道水質に関する内容をお尋ねします。
 ことしの五月に厚生労働省において、水道水質に関して水道法で必ず遵守しなければならないとされている水質基準の改正がなされました。この改正は平成四年以来のもので、現行の四十六項目の水質基準に対し、最新の知見や検査データなどに基づき九項目が削除され、新たに十三項目が追加された結果、全部で五十項目に変更されたところであります。
 また、法に基づく水質基準に対して、これを補完する目的により、通知に基づいて追加された項目がありますが、これについても大幅な変更がなされました。このうち農薬に関連する項目は、現在の四十五項目から大幅にふえて百一項目が示され、各それぞれの目標値を超えないことはもとより、農薬全体を合計して指標値を超えないという、いわば今までになかった総量規制のような考え方が盛り込まれました。
 一方、河川水を水源とする場合、一般的に関心の高い内分泌攪乱物質、いわゆる環境ホルモンについては今回の改正でも水質基準には含まれておらず、国等においても引き続き調査研究をすることとされています。
 また、今回の改正においては、これまで全国一律で定められた水質検査の内容が、水源の種別やこれまでの検査結果により、各事業者の判断により検査項目や検査頻度を省略することができるようになりました。農薬の検査についても、上流域での使用状況を調べて、事業体ごとに百一項目のうち検査をする項目を定めることとされております。このように各水道事業体の判断により独自に検査計画を定めることができるようになったかわりに、こうした検査項目や検査頻度を定める検査計画を広く需要者に説明し、意見を聞いて策定することが必要となりました。
 そこで質問いたします。
 まず、今回の水質基準の改正は平成十六年四月一日からの適用となっており、先ほど述べました水質検査計画を作成する必要があると思いますが、企業庁ではどのような手順を考えているのか、お尋ねします。
 次に、この水質検査計画の中で検査項目や検査頻度を事業体ごとに定めることとなっていますが、企業庁として水質検査をどのような考えで行おうとしておるのか、お尋ねをいたします。
 また、今回の改正により大幅に変更された農薬の検査及び水質基準に盛り込まれなかった環境ホルモンの検査について企業庁はどのように取り組んでいくのか、お尋ねをいたします。
 次に、水供給の安定に関する内容に移ります。
 昨年の九月議会でも質問しましたが、大規模地震による被災や異常気象の発生などの異常時を考えると、水道の安定した供給の確保については、水道施設の耐震化などの施設整備はもちろんのこと、水源について複数系統からの融通が可能であり、いざというときに他系統からも連絡ができるとともに、一定の余裕を持って水源を確保することが必要であると考えるところであります。とりわけ、渇水に強いと言われており、現在未利用分がある長良川河口堰の水をこうした異常時に広く活用できるようにすることが重要と考えております。
 こうした未利用水源の活用などについては木曽川水系における水資源開発基本計画を改定する必要があると聞いていますが、このことについては、本会議の代表質問において我が党の浅井議員の徳山ダムに関連した質問に対し、知事から、国においては既に木曽川水系の水資源開発基本計画の変更作業が始まっているとの答弁がなされております。
 そこで、少し具体的な状況について企画振興部にお聞かせ願いたいと思いますが、この水資源開発基本計画の変更についてどのような進捗状況にあるのか、今後の見通しも含めお伺いをいたします。
答弁:深谷憲彦 企業庁長
最初に、水質検査計画についてでございますが、議員御指摘のとおり、今回の改正によりまして、県や市町村の各水道事業者は独自の判断で水質検査項目や検査の頻度を定めた水質検査計画を作成する必要がございます。
 この計画でございますが、企業庁といたしましては、需要者であります各受水団体からの意見、要望等を十分反映して、来年の四月一日からの運用に向けて取り組んでまいる所存でありまして、現在、計画案を作成中でございます。今後、計画案に対する御意見等を受水団体であります市町村からいただきまして、年明けにも計画を取りまめていく予定でございます。
 なお、策定後は企業庁のホームページに掲載をいたしまして、広く県民の方々にもお知らせをする考えでございます。
 次に、水質検査についての企業庁の考え方でございますが、水源につきましては、その水質が水処理に大きく影響を与えるものでありますので、水質監視のための検査を強化するとともに、浄水場での処理後の飲み水につきましては、安全な水を確認するため、水質基準項目を省略することなく、十分な頻度で検査をする考えでございます。
 具体的には、水源の検査では、各水源ごとに水処理を行う上で必要となります四十五項目につきまして、できるだけ多くの採水地点を定めまして検査を行う考えでございます。また、浄水場での処理後の飲み水におきましては、すべての浄水場で水質基準に定められております五十項目を省略することなく、月一回検査をいたしますとともに、これに加えまして、水道水の一層の安全性確保のために必要となります重金属類など二十四項目につきましても任意に検査をしていく考えであります。
 さらに、受水団体への受け渡し地点であります供給点におきましては、大腸菌など五十項目の水質検査を行いますが、その検査頻度につきましては、送水施設の状況、これ、長い短いございますので、そういった状況などを考慮いたしまして、項目ごとに検査頻度を定めていく考えであります。
 次に、農薬と環境ホルモンの検査についてでございますが、まず、農薬の検査に当たりましては、今回示されております百一項目から事業体ごとに検査すべき項目を定めることとされております。このため、企業庁といたしましては、河川ごとに上流域での農薬の使用量を参考に、河川での残留性などを考慮いたしまして、水系ごとに約六十項目から九十項目を検査する考えであります。
 また、環境ホルモンにつきましては、これまでも水質基準には定められておりませんが、全国的に検出されたことのありますダイオキシン類などの十一項目を独自に選定いたしまして環境ホルモンの検査を実施しておりまして、今後も引き続きましてこの十一項目の検査を実施してまいりたいというふうに考えております。
 以上でございます。
答弁:鈴木克幸 企画振興部長
木曽川水系水資源開発基本計画の変更についての進捗状況のお尋ねでございます。
 木曽川水系の現行の水資源開発基本計画につきましては、水需給の見通しの目途が平成十二年度となっておりますことから、国において平成二十七年度を目標年次といたしまして、計画の変更作業が行われているところでございます。この変更は、国土交通大臣の諮問機関でございます国土審議会の木曽川部会の意見を聞きながら進められることとなっております。
 本年七月に第一回の木曽川部会が開かれ、その後、国から関係県に対しまして需要予測等の調査依頼があり、県におきましては現在、水需要の推計作業を進めるとともに、木曽川水系全体の安定した水の供給方策について検討しているところでございます。
 今後の見通しでございますが、国においては、関係県からの調査結果をもとに、木曽川部会において水需給についての審議がなされ、年度内の計画変更を目指していると聞いております。
 以上でございます。
答弁:神田真秋 知事
 木曽川水系の水資源開発基本計画、いわゆるフルプランの変更についてでございます。
 現在、この変更作業の一環といたしまして、最も新しい人口予測値に基づき、世帯数の推移あるいは生活様式の変化など諸要素を勘案しながら水需要の推計をいたしておりますが、需要の伸びは鈍化しているものと見込んでおります。また一方、近年の少雨傾向によりまして、木曽川水系全体のダムの供給能力でございますが、これは計画よりも大幅に低下をしていると認識をいたしております。
 このような状況でございますので、県といたしましては、木曽川水系における将来の安定した水の供給を確保するという観点から、長良川河口堰の未利用水、これの有効利用といった点も含めまして、水需要とダムの供給能力の両面から総合的に考えてまいりたいと思っております。
質問:加藤精重 議員
次はフルプランの件。
 実は、僕、この件について過去に三回質問やっておるんですね。過去の三回、みんな同じ答弁なんです。なぜかというと、質問が一緒ですもんで。これはどっかで聞いたようなことなんですけれども、やっとこさ今回変わってまいりまして、事業が一歩進んだなと、そんなふうに思っております。
 未利用水を今後とも有効に使っていただいて、真に愛知県にとってプラスになるように、今後とも、国においてようやく始まりました木曽川水系の水資源開発基本計画の変更の中で、今後いろいろ位置づけられていくものと認識しております。長良川河口堰の転用におきましても、徳山ダムにおきましてもさまざまな課題があろうかと思いますが、県におかれましては、今後とも関係省庁や水資源機構などとしっかりと、しっかりと協議、調整をしていただくよう要望をいたします。

2003.12.02 平成15年11月定例会

質問:浅井一明 議員(自由民主党)
 次に、徳山ダムについてお尋ねをいたします。
 本県は、木曽川、矢作川、豊川という三大水系の恵みを受け、これらの河川を水源として開発し、利用してまいりました。これが今日の県勢発展の大きな原動力となっており、私たちは水源地域の皆様の深い御理解と御協力に改めて感謝しなければならないと感じております。
 さて、木曽川水系において最後のダムと言われています徳山ダムが、平成十九年度の完成を目指して工事の最盛期に入っており、知事は、木曽川水系は慢性的に渇水の傾向があり、この徳山ダムの果たす役割に一定の理解を示しているものと承知をしております。
 しかしながら、この八月に徳山ダムの施行主体である独立行政法人水資源機構は、現在の事業費二千五百四十億円にさらに千十億円を上積みすると発表し、一昨日、その増額分の一部削減案を示したところであります。
 昨今の公共事業を取り巻く社会情勢や厳しい県の財政状況を考えると、この事業費増額に伴う負担金の追加は大変な問題であると考えます。そこでまず、このことについて県はどのように取り組んでいかれるのか、お伺いいたします。
 次に、木曽川水系における水道用水の需要についてお尋ねをいたします。
 近年、平成六年の大渇水を契機として、県民の節水意識が高まっており、また、洗濯機などの水利用機器においても節水タイプが急速に普及し始めております。このように、節水型社会へ移りつつある中で、今後の人口動向も考え合わせますと、水需要の伸びは鈍化するのではないかと考えられます。
 そこで、現在、国において木曽川水系水資源開発基本計画の変更作業が行われていると聞いておりますが、県は本県における将来の水需要をどのように見込んでおられるのか、お伺いいたします。
 一方、水の供給面から見ますと、近年、異常な気象変動や少雨傾向により、ダムの供給能力が著しく低下をしております。本年三月に日本で開催された第三回世界水フォーラムにおいても、このような気候変動に伴う渇水について、世界的なテーマとして議論されております。
 木曽川水系においても、近年、渇水がたびたび発生しており、県民生活の安心・安全を確保するために、県として水を安定的に供給することは最も重要な課題であります。本県にかかわる徳山ダムの計画水量は、水道用水毎秒四トンでありますが、本県は長良川河口堰に未利用の工業用水も抱えております。
 そこで、将来の水の安定供給の観点から、長良川河口堰の有効活用を図りつつ徳山ダムの水利用を考えていかなければならないと思いますが、知事はどのように考えてみえるのか、お伺いいたします。
 また、徳山ダムの水を利用するには、揖斐川から木曽川へ導水する施設が必要となります。ダム事業に加え、この導水施設にも多額の事業費が必要になると、本県の負担は数百億円に上ると言われておりますが、県は今後どのように取り組んでいかれるのか、あわせてお伺いいたします。
答弁:神田真秋 知事
 徳山ダムについて御質問がございました。
 御質問と答弁の順序が相前後いたしますけれども、まず、本県の水道用水の将来需要について申し上げたいと思います。
 木曽川水系の利水計画の根幹をなす国の水資源開発基本計画につきましては、平成二十七年度を目標とする変更作業が現在進められており、本県は、この作業の一環として、需要推計を行っているところでございます。
 この需要推計は、最新の人口予測値をもとに、厚生労働省の水道施設設計指針に基づいて行っておりますが、世帯数の増加などが需要を押し上げることも予想される一方で、議員の御指摘のように、節水型社会への移行といった事情もございます。したがいまして、現在、これらもろもろの要素を総合的に勘案しながら、水需要の推計作業中でございますが、需要の伸びは鈍化していくものと見込んでおります。
 こうした中で、徳山ダムの水利用についての考え方という点でございますけれども、平成十二年十二月の水資源開発審議会の答申によりますと、近年の少雨傾向によりまして水利用の安定性が損なわれていることが指摘されており、木曽川水系全体のダムの供給能力につきましても、近年の十年に一度発生する雨の少ない年におきましては計画の約六割に低下しております。このため、木曽川水系の新しい水資源開発基本計画を策定するに当たり、現在、鈍化傾向にある水需要と低下しているダムの供給能力のこの両面から検討をいたしております。
 こういう状況において、将来の安定した水の供給を確保するに当たりましては、懸案の長良川河口堰で未利用になっている工業用水の水道水への転用とあわせて徳山ダムの水利用を考えてまいりたいと思っている次第であります。
 また、徳山ダムからの導水施設についてでございますが、県といたしましては、ルート、施設規模等について、関係する国土交通省、名古屋市などと協議をしながら、経済性や効率的な水利用の面から検討していかなければならないと考えております。
 なお、この点の最後の部分でございますが、徳山ダムの事業費の増額についてでございます。
 去る八月の八日に、水資源機構から一千十億円の事業費の増額案が示されました。その主な理由としては、物価上昇など社会経済的な要因、環境保全対策、設計・施工計画の変更などと伺っております。この増額案に対しましては、私ども県は水資源機構に対し百二十四項目にわたる質問を提出し、先ごろその回答を得たところでございまして、現在、厳密にその精査を行っているところでございます。
 また、そういう中で、水資源機構は三県一市からのこうした質問を検討して、一昨日開かれました中部地方整備局事業評価監視委員会において、増額事業費を五十億円縮減し、九百六十億円の修正案が示されたところでございます。県といたしましては、その修正案を十分これから精査をいたしますとともに、今後は、関係県市と十分相談しながら対応を検討してまいりたいと考えております。

SITE MAP  ≫ TOP