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徳山ダムのクマタカが衰弱死
自然保護団体「環境改変への警鐘」
岐阜県藤橋村で進む徳山ダムの建設用地内で、水資源開発公団が六月に保護した絶滅危ぐ種のクマタカが、五日後に衰弱死していたことが分かった。同公団徳山ダム建設所は一九九六年からクマタカの繁殖状況を調査しているが、衰弱した状態での発見は初めて。同建設所は「調査対象のつがいは健在で、死んだのは別の個体。繁殖状況に変化はない」としているが、自然保護団体は「環境の改変への警鐘。公団は謙虚に受け止めるべきだ」と指摘している。
建設所によると、このクマタカは約七十センチの若い成鳥で雌。六月二十六日朝、林道上でうずくまっているのを調査員が見つけた。岐阜県大垣市内の動物病院に運び、七月一日、愛知県内の病院に移された直後に死んだ。外傷はなく、衰弱の原因について建設所の高橋陽一環境課長は「今年は雨が多く、えさが取れなかったからではないか」と推測する。
一方、建設中断を提言してきた日本自然保護協会常務理事で、大型猛きん類の研究を続ける横山隆一さんは「雨が多いなど気候の変化は、野生の鳥は織り込み済み。人間の活動によって環境が変わり、えさが取れなくなった」との見方を示す。
死んだクマタカは縄張りを持たない「フローター」だったとみている。
横山常務理事は「フローターの生息は大切。縄張りを持たない彼らが衰弱しやすい場所になったとしたら注意が必要」と訴え、「今回は自然界からのサイン。食物連鎖の下位にも影響が出ているかもしれない」と懸念を示す。
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