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徳山ダム訴訟の控訴審開始
原告「水需要予測は過大」
水資源機構(旧水資源開発公団)が岐阜県藤橋村に建設している国内最大級の徳山ダム事業をめぐり、住民らが国土交通相を相手取り、事業認定取り消しを求めた行政訴訟の控訴審第一回口頭弁論が十三日、名古屋高裁であり、一審で敗訴した原告側は「ダムの水需要予測が、過去の実績を大きく上回る不合理なものであることは事業認定当時から明らかで、認定は違法」と、判決見直しを求めた。被告側は控訴棄却を求めた。
原告側は控訴理由書で「新規利水を目的とした水資源開発施設であり、新たな水需要がなければ法的根拠を失う」と、一審と同様に主張した。
最大の争点だった水需要予測について、一審判決が「長期的な観点から整備し、予測を超える事態も想定して余裕を見込む必要がある」と、被告側の予測を容認した点を批判。水道・工業用水などのデータを示し、「水需要実績を検討すれば、二十年後までに予測を超える水不足はあり得ない」と指摘した。
意見陳述で、原告の近藤ゆり子さん(岐阜県大垣市)は「判決後、国はダムの利水容量を事業認定時の55%に削減し、過大な需要予測が明らかになった」と批判。上田武夫さん(同)は「工事で自然はさらに悪化し、イヌワシなどの生息環境をダムの底に沈めることになる」と訴えた。
岐阜県収用委員会に土地強制収用裁決の取り消しを求めた訴訟と、同県知事に建設費用の差し止めなどを求めた訴訟も同時に審理が始まった。
同訴訟は住民らがダム予定地の一部を地権者から譲り受け、一九九九年に提訴。一審の岐阜地裁は昨年十二月「洪水からの保護など公共の利益は多大で、認定に違法性はない」と棄却した。
<徳山ダム> 岐阜県藤橋村の揖斐川上流で水資源機構が建設中の治水、利水、発電などの多目的ダム。ロックフィル式で高さ161メートル、総貯水量はナゴヤドーム約530個分の6億6000万トンで全国最大。1957(昭和32)年に計画され、76年に事業認可。2000年に本体着工し、完成予定は07年度。
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