岐阜新聞ニュース

平成16年4月23日 金曜日

夕刊

朝刊 経済 [4月23日夕刊記事] 

善商業務許可取り消し/岐阜市、産廃不法投棄で

 岐阜市椿洞の廃棄物関連業者「善商」(為重美紀社長)による産廃不法投棄事件で、同市は二十三日、同社の収集運搬・中間処理の許可を取り消した。

 細江茂光市長は同日朝、会見に応じ、「先ほど決裁の判を押した。今日中にしかるべき方法で文書を為重社長に手渡したい」と話した。

 同市は今月十九日に聴聞会を実施し、為重社長らに許可取り消しの法的根拠を説明。社長は「廃棄物を一時的に置いたつもりが拡大してしまった」と不法投棄を認め、謝罪した。

 今後は、状況を見ながら、撤去命令も出される見込み。

《岐阜新聞4月23日付夕刊一面》


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[4月23日朝刊記事] 

暑い春/県内3地点「真夏日」に

 県内全域で強い日差しが降り注いだ22日、飛騨市神岡町など県内3地点で、30度を超える真夏日となった。岐阜地方気象台によると、県内で4月に真夏日が記録されるのは1998(平成10)年以来、6年ぶり。

 真夏日を記録したのは、飛騨市神岡町31.3度(平年17.9度)、多治見市31.0度(同21.0度)、揖斐郡揖斐川町30.6度(同20.0度)。

 この日は、南からの高気圧に覆われ、晴れわたったため、各地で気温が一気に上昇。岐阜市でも真夏日に迫る29.6度(同20.9度)を記録した。

 同市美江寺町の美江寺公園では、汗ばむような暑さに、子どもたちが噴水に飛び込み、水遊びする光景も見られた。

(写真)公園の噴水に飛び込んで水遊びする親子連れ=22日午後1時30分、岐阜市美江寺町、美江寺公園(撮影・安藤茂喜)

《岐阜新聞4月23日付朝刊一面》


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杉原ダム凍結検討/徳山ダム事業費増額/中電など、発電規模縮小へ

 揖斐郡藤橋村に建設中の徳山ダムの事業費増額問題に絡み、追加負担を求められている電源開発(東京)と中部電力(名古屋)が発電計画を全面的に見直し、徳山ダムとセットで計画されている杉原ダムの建設凍結を検討していることが二十二日、明らかになった。

 両社は徳山ダムの総事業費が九百六十億円増額されたことに伴い、発電容量に応じて計百八十億円の追加負担が求められているが、杉原ダムの建設を凍結し、発電規模を縮小することで追加負担を回避したい意向。

 徳山ダムは治水と利水、発電を目的とする国内最大級のダム。現行の発電計画によると、徳山ダムでは電源開発が、下流約四・五キロに造る中部電力の杉原ダムにたまった水をくみ上げて再利用する揚水式発電により最大出力四十万キロワットを確保。杉原ダムは単独でも同二万四千キロワットの発電する。

 関係者によると、これを徳山ダムだけで発電する方式に変更し、発電に利用する水量を削減。中部電力は電力需要の低迷から杉原ダム不要論も強かった。両社は近く検討結果を地元自治体に報告する。

 藤橋村によると、杉原ダム建設のため約七十世帯が移転。村幹部は「これまで協力してきたのに凍結は心外だ」と話している。

 県水資源課は「今のところ、杉原ダムを見直すということは聞いていない。徳山ダムとも関連するダムで、(建設凍結となれば)徳山ダムの計画見直しに、どんな影響が出るかが問題」と話している。徳山ダムの増額問題をめぐっては、同様に追加負担を求められている愛知、岐阜両県と名古屋市も負担圧縮のため、利水量を当初計画から四−五割削減する方針を決めている。

《岐阜新聞4月23日付朝刊一面》


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不法投棄 周辺にも疑う声/岐阜市の保安林消失/業者、掘削調査へ

 岐阜市椿洞の産廃不法投棄事件の影響で、廃棄物関連業者「善商」(為重美紀社長)の現場だけでなく、周辺の業者へも市民から不法投棄を疑う声が上がっている。同地内の建設業者は、保安林を不法に切り開いたとして、森林法違反で行政指導を受けているが、それらの土地は「不法投棄に充てたのでは」という指摘もある。この業者は二十二日、本社の取材に対し、「潔白を示すために独自に敷地内の掘削を行う」とし、その際の立ち会いを市に依頼するなど、事件の波紋が広がっている。

 この業者は善商と県道を挟んだ向かいにあり、山林に囲まれた広大な現場で、産廃の中間処理業を含むグループ企業数社が操業。この周辺の保安林が消失しているという一般からの情報で、県と市が今月八日に立ち入り調査し、事実確認した。県によると、消失面積は善商が不法投棄に充てた保安林三ヘクタールの二倍以上といい、県は同法違反に当たるとみて復旧を指導している。

 この業者については、善商が不法投棄した地域の数倍の敷地があり、業態も似ていることなどから疑惑が浮上したようだ。善商事件に関する市の住民説明会では、複数の住民が「向かいの業者も産廃を埋め立てているはず。何とかしないのか」と市を追及。善商事件の市民集会を開いた市議の一人も「市民から通報を受けており、疑っている。調査していきたい」としている。

 これに対し、業者側は森林法違反について「数年前から山崩れが続き、危険防止のため周辺を切り開いた」と説明。不法投棄疑惑については「取引先などの問い合わせが相次ぎ、迷惑している。違法行為は全くしていないので、潔白を証明したい」として、市の立ち会いの下で敷地内の掘削を行うことを決めた。

 市もこの業者には、善商の事件が発覚後、三回にわたり緊急の立ち入り調査を行うなど、関心を深めている。八日の立ち入りでは、野積みされた廃棄物が見つかったが、中間処理能力にほぼ見合った量で、一時置きとの見方だ。

 掘削の日程や具体的な場所は未定だが、市は立ち会いに応じる予定で、担当者は「あくまで任意の調査だが、掘削場所などはある程度指定し、意味のあるものにしたい」としている。

《岐阜新聞4月23日付朝刊社会面》


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乗鞍の春へ白いアーチ/スカイライン除雪作業進む

 冬季閉鎖されている乗鞍スカイライン(大野郡丹生川村、全長一四・四キロ)で、五月十五日の開通に向けた除雪作業が大詰めを迎えた。冬の眠りから覚めたばかりの乗鞍岳に、重機のごう音が響き渡っている。

 除雪作業は、今月一日に平湯峠ゲートにつながる取り付け道路から始まり、五日から本線で行われてきた。乗鞍自動車利用適正化協議会によると、今年は積雪量が少なかったが、雪が重くなっており、作業は例年並みの進ちょく率という。

 二十二日は、ロータリー除雪車やブルドーザーなど六台が出動。十キロ地点の猫岳付近では、遠くにそびえる槍・穂高連峰を背景に雪を飛ばし、白いアーチを描いていた。

 (松野幹郎)

(写真)槍・穂高連峰を背景に雪のアーチを見せる除雪車=22日午前9時15分、大野郡丹生川村久手、乗鞍スカイライン

《岐阜新聞4月23日付朝刊社会面》


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外為証拠金取引トラブル急増/県内で高齢者や主婦に多額の追加金請求

 リスクの高い外国為替証拠金取引で、損失を埋めるための追加金(追証)を求められ、解約や精算に応じてくれないといったトラブルが県内でも急増していることが、県消費生活センターのまとめで分かった。六十代の女性が度重なる追証で二千万円以上支払ったケースもあり、同センターでは契約時の注意を呼び掛けている。

 同取引は一定の委託証拠金を業者に預け、円とドルの外為売買による差金で決済する取引。小額で大きな取引を行うため為替変動次第で大きな損益を生むが、損失の場合は追証を次々と請求されることがあるという。

 同センターによると、近年こうした為替相場取引の相談が増えており、年間一件程度だったのが、昨年度は八件に急増した。「損はさせない」などといった電話勧誘に応じて十カ月前に、二百十万円支払った揖斐郡の六十代の女性のケースでは、円高で損失が発生したことで追証を何度も請求され、支払い総額が二千百五十万円となった。

 精算しようとしても「今止めても三百五十万円しか戻らない」と言われ、損を取り戻すためにはさらなる追証を求められたという。相談ではこのほか、支払いが七百五十万円や五百万円となったケースもあった。

 外為証拠金取引は四月から金融商品販売法が適用され、業者からリスクなどの説明がなかったことで損害が生じた場合、賠償請求できるようになった。センターではトラブルがあった場合は弁護士との相談を勧めるとともに、「主婦やお年寄りがトラブルに遭うケースも多い。内容が十分理解できない時や取引の意思がない場合は、はっきり断るなどしてほしい」と話している。

《岐阜新聞4月23日付朝刊社会面》


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えん堤障害、遡上手助け/根尾川の天然鮎/漁協、停滞の鮎、上流へ移動

 成長するために伊勢湾から揖斐川を通って根尾川を上る天然鮎の遡(そ)上支援作業が二十二日、本巣市の海老(かいろう)えん堤周辺で行われ、根尾川筋漁業協同組合=同市山口=の組合員がえん堤下流に停滞している鮎を捕獲し、えん堤の上流域に移動させた。

 鮎の漁獲は冷水病のまん延やカワウによる食害などが要因となって低迷しており、漁獲量の向上には天然鮎の遡上量の増大が不可欠とされている。同組合はえん堤の下流にとどまっている鮎を上流に移動させることで、川の生産性を高めて釣果の向上を図る。

 同川にはえん堤が多く、魚道から上らない鮎が遡上期にはえん堤の上流を目指して飛び跳ねている。しかし、同じ時期に同川から農業用水の取水が始まり、水位が下がるとえん堤の落差が広がり、鮎がジャンプして越えるのは困難となる。渇水で水が干上がり、鮎がえん堤の下で全滅することもあった。

 同組合管内の鮎魚は五月十一日が解禁で、えん堤の上下五十メートルは鮎の遡上に配慮して今月と五月の二カ月間は禁漁となるが、同組合は保護目的に限り、県から特別採捕の許可を受けた。区間は海老えん堤から上流の山口えん堤までの約八キロで、二トンまで捕獲できる。

 鮎の縄張り本能を利用する友釣りファンにとって、闘争心の強い天然鮎の人気は高く、群れて掛かりにくい養殖鮎との差は歴然という。昨年は同えん堤に限って許可を受けて試行し、百五十キロを捕獲して上流に放流したところ好評で、今年は規模を拡大した。

 今年は水温が高く、遡上は昨年より二十日早い今月八日に確認、特別採捕の作業は、「登り落ち」など箱を使ったわなを仕掛けたり網を使って天然鮎を捕まえ、この日は約四十キロを本巣市根尾の根尾川に放った。

 戸部一秋組合長は「上限まで、できる限り続けたい。多くの友釣りファンに喜んでもらえそう」と期待する。

 (小森直人)

(写真)天然鮎をえん堤上流に移動させるため、捕獲のわなを仕掛ける根尾川筋漁業協同組合員=本巣市海老、海老えん堤下流

《岐阜新聞4月23日付朝刊県内版》


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古木のフジ 漂う芳香/羽島市・竹鼻別院

 羽島市竹鼻町の竹鼻別院のフジ(県天然記念物)が、見ごろを迎えた。フジ棚には薄紫色の花房が垂れ下がり、見物客らを楽しませている。

 同別院のフジは、樹齢三百年以上の古木。高さ約二・五メートルで、枝は東西に三十三メートル、南北に十五メートルの幅で広がっており、約九十センチほどに垂れ下がった花房からは甘い香りが漂っている。

 花は今月上旬に開花し、現在は八分咲き。同市観光協会によると「例年に比べて色が鮮やか。今月末にかけて満開を迎える」という。

 同別院や地元の竹鼻商店街一帯では、二十三日から五月五日にかけて「美濃竹鼻まつり・ふじまつり」を開催。来月三日には、同市制施行五十周年を記念して同町にある十三台の山車が同町内で特別に曳(ひ)きそろえられる。

(瀬見井芳信)

(写真)見ごろを迎えた竹鼻別院のフジ=羽島市竹鼻町、竹鼻別院

《岐阜新聞4月23日付朝刊県内版》


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昭和初期の北方町商店街 マップに/町文化財保護協作る

 北方町文化財保護協会(小野薫会長)は、北方町の商店街が活況を誇っていた昭和初期の町並みを写真入りのマップで再現し、北方町文化財だよりの特集で紹介した。

 同商店街は江戸時代中期から豪商の町と呼ばれるようになり、目覚ましく発展。当時のマップづくりは近くで生まれ育った小野さんが「戦前が北方が最も栄えた時代。今は寂れているが、歴史を見直すことで発展のきっかけに」との願いで発案。三歳から小学生だったころの記憶をひもとき、現在の店主に先代、先々代の状況を聞き取り。八十代前後の町民らのチェックを経て約二カ月で完成させた。

 マップはA4判七ページ。岐阜農林学校(現在の岐阜農林高校)から糸貫川まで東西約二キロにわたる目抜き通りの米屋、呉服屋、下駄製造工場、みそ屋など約百八十件を当時の屋号で掲載。老舗の造り酒屋、薬局などの写真、突き出し看板、製糸工場の挿絵も入れた。人力車でにぎわう美濃北方駅、乗合馬車などのエピソードも紹介した。

 小野さんは「町は子どもの遊び場。あちらこちらの店主にしかられたことが役立ち、はっきり覚えていた。懐かしい−と町外に出た人からも反響があります」と笑う。

 文化財だよりは六千部作成。好評で残部はなくなったが、町教委や町立図書館で閲覧できるほか、本年度末に販売する十年間の同たよりの縮刷版に載せる。

 (小森直人)

(写真)昭和初期の北方町の町並みを再現したマップを示す小野薫会長=北方町北方の自宅

《岐阜新聞4月23日付朝刊岐阜地域版》


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IT技術、ハンディ補う/梶原知事/神戸市の施設を視察

 神戸市にある障害者の自立と社会参加活動を続ける社会福祉法人「プロップ・ステーション」(竹中ナミ理事長)を二十二日、梶原拓知事が訪ね、ITを活用した重度障害者の在宅による就労の様子などを視察した。

 同法人は十年以上にわたり、ITを活用した先駆的な障害者の就労促進活動を全国で展開。大垣市のソフトピアジャパンに入居している障害者らによる「バーチャルメディア工房」(上村数洋代表)ともつながりがあり、県内のITを活用した障害者就労の在り方を探るため、梶原知事が視察した。

 面談した竹中理事長は「障害者はITによってハンディを乗り越えられる。これまで障害者支援は労働という視点がなかったが、自分の身の丈に合った労働でお金を稼いで納税し、社会の支え手の一人になることで生きがいとなる」とITの利点を強調。さらに、「重度障害者でも在宅ワークで仕事ができる。企業に定められている障害者雇用率は、多くの企業で達成していないが、在宅の雇用も含むよう国に働き掛けている。岐阜の企業とも連携したい」と語り、梶原知事は「今後もアドバイスをしてもらいたい」と協力を求めた。

 この後、梶原知事はテレビ会議システムを使い、仙台市に住む重度障害者で在宅で働く四人と会話し、激励した。

 梶原知事は同日、同施設の視察とともに大阪商工会議所との懇談会に出席し「明るい日本復活に向けての処方箋(せん)−地方分権改革の推進」と題して講演したほか、神戸市の神戸ファッションマートを視察した。

(写真)ITを活用した障害者就労について懇談する梶原拓知事と竹中ナミさん(右)=神戸市東灘区

《岐阜新聞4月23日付朝刊県内版》


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丹精の畑が今年も満開/「みのかも菜の花の会」栽培の菜の花

 美濃加茂市新池町の畑で、廃食油をボランティアで回収する「みのかも菜の花の会」(渡辺寿一代表)が栽培する菜の花が満開となり、道行く人の目を楽しませている。

 同会は、市が策定した市環境基本計画にかかわったメンバーで二年前に発足。自分たちで菜の花を栽培して食用油を作り、学校給食で使用して出る廃食油を精製してBDF(バイオディーゼル燃料)にし、公用車で活用する資源循環を目指している。

 菜の花の栽培はその一環で、昨年十一月に植え付けイベントを行った。約五アールの畑全体に咲き誇り、黄色のじゅうたんが敷き詰められたよう。今月いっぱいが見ごろという。

 同会では六月に刈り取りイベントを開いて菜種油を作り、学校給食で使用する計画。

 (裁成人)

(写真)満開を迎えた菜の花。6月には刈り取りイベントも予定されている=美濃加茂市新池町

《岐阜新聞4月23日付朝刊中濃地域版》


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[4月23日経済ニュース]

直営店開発を外部委託/焼肉屋さかい/FC開拓に集中

 焼肉屋さかいは、直営店開発業務の外部委託を始めた。東京本社稼働に伴う本部機能の効率化のため、開発本部の直営開発部を廃止。人員を地方で引き合いの多いFC(フランチャイズ・チェーン)開拓に集中する。

 米国の牛海綿状脳症(BSE)発生に伴う牛肉の輸入停止措置の影響で新規出店を延期・凍結して以来、直営店、FCに力を分散していた開発営業担当六人のうち五人がFC開拓に集中。直営店開発は直営開発部長(執行役員)が一人で担当してきた。

 同部長が二十日付で退社し、独立して同じ業務を始めることから、「アウトソーシングで十分対応できる」(同社)として外部委託先とした。さらに従来の不動産系ネットワークを生かす。

 東京本社は二十一日に稼働。登記上も同日付で東京都千代田区外神田に変更するとともに、組織を改定した。直営開発部廃止のほか、営業本部で西日本統括部の焼肉直営事業を細分化し、さかい事業直営東海担当、同関西担当、にっぱち事業直営担当、新業態事業直営担当を置いた。直営事業の運営管理を強化するのが狙い。

《岐阜新聞4月23日付朝刊経済面》


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