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徳山ダムの水需要予測、3割減
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徳山ダム水利権半減 水余りの現実追認
梶原拓知事は9日、徳山ダムの水利権を半分近く返上する方針を表明した。実績から大きくかけ離れていた県の水需給計画も、新しい計画の概要が同日公表され、将来の需要の予測値は一気に3割も下方修正された。長らく指摘されてきた水余りの現実を、ようやく認めた形だ。
梶原知事はこの日の県議会の一般質問で、水利権の返上について「(徳山ダム建設にかかわる)県の負担が現行の費用分担方式で想定される分担額を超えないようにするのが大前提だ」と答弁した。
水資源機構が増額を表明しているダムの総事業費は3500億円で、現行の負担割合をあてはめると県の追加負担は約194億円と見込まれる。今回の水利権返上は、追加負担をこの額以下に抑えることが狙いとの考えを示した。
同時に梶原知事は「06年の台風シーズンまでに徳山ダムの試験湛水(たんすい)を行うのが目標」とも答え、ダム建設推進の立場を強調した。
県はこの日、新しい水需給計画の概要も公表した。
県が94年につくった現行の水需給計画では、徳山ダムの水を利用する予定がある大垣地域の給水量が実績とかけ離れており、「徳山ダムの水を無駄に確保することになるのではないか」と批判されてきた。
98年の1日最大給水量は、計画では、水道用水で23万トン、工業用水で50万トン。ところが実績値は水道用水で18万トン、工業用水で45万トン。それぞれ21%と10%が過大な見積もりだった。
今回の新計画では、前提となる将来の経済成長や人口などを下方修正し、2015年までの水道用水と工業用水の1日最大給水量を、ともに98年からほぼ横ばいになると予測した。
現行計画最終年次の10年で新計画と比べると、水道用水は27万トンが19万トンに、工業用水も64万トンが46万トンに下方修正されている。
「徳山ダム建設中止を求める会」の近藤ゆり子事務局長(54)は「計画を見直せば下方修正になることは既にわかっていたはずだ。ダムの事業費が増額されて県の負担が増えそうになってから、やむを得ず数字合わせで削減しただけだ」と批判している。
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