岐阜新聞ニュース

[5月13日朝刊記事] ※ニュースは適宜「Reload・再読込」してご覧ください 

新人ガイド、雲上の研修/乗鞍スカイライン/シャトルバス試運転

 開通を十五日に控えた大野郡丹生川村久手、乗鞍スカイライン(全長一四・四キロ)で十二日、濃飛バス=高山市花里町=によるシャトルバスの試運転と新人バスガイドの研修が行われた。

 同スカイラインは一九七三(昭和四十八)年に開通。昨年からマイカー規制が実施されるとともにシャトルバスの運行が始められ、昨シーズンは約二十三万五千人(うちシャトルバス利用者約五万三千人)が訪れて、雲上の絶景を楽しんだ。

 試運転には、新人バスガイド三人を含む関係者ら約二十人が参加。新人が先輩から、山々の名称や植生などを学んだ。

 同スカイラインは、十月三十一日まで営業。シャトルバス発車式は十五日午前八時四十分からほおのき平=同村久手=と平湯温泉=吉城郡上宝村=のバスターミナルで開かれ、山開き式は同十時から同スカイラン終点の畳平駐車場で行われる。

 (文、写真・松野幹郎)

(写真)乗鞍スカイラインから見える景色の説明を受ける新人バスガイド=12日午前11時20分、大野郡丹生川村久手

《岐阜新聞5月13日付朝刊社会面》


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住民投票結果を覆す/岐南町の合併協離脱方針/他3町に影響必至

 岐阜広域合併協議会から離脱を求める請願を採択した羽島郡岐南町議会。合併協議の進展や情勢の変化に伴い、少しずつ増大した合併への不安が採択に至った背景にあるとみられるが、住民投票結果を翻したことで、同町議会が失った信頼は計り知れない。

 今回の請願は、新市の市政運営に対する住民の不安、負担増への懸念が一部住民を動かしたのがきっかけ。当初は地域審議会の役割や財政難に対する危機意識を住民に浸透させられなかった行政と議員の説明不足が招いた事態−とみる向きもあり、住民投票の結果を覆すものではなかった。

 だが、岐阜市の産廃問題や羽島市で住民投票の実施が決まるなど、町を取り巻く情勢の変化により、三月の町議会定例会で請願は継続審査に。羽島市の離脱が決まった四月には、それまで拮抗(きっこう)していた議会内のバランスは崩れ、住民投票の意義や重みは色あせていった。

 住民投票を覆して合併協からの離脱方針を決めた今回の請願採択を受けて各議員は、住民投票の意義と議決権の重さを見つめ直さなくてはならない。

 一方、政令市構想を掲げた枠組みがまたも揺らいだことで、合併協の他三町に及ぼす影響は大きい。羽島郡笠松町では六月に住民投票を予定。岐南町に隣接しており、住民に与える心理的な影響は否めない。同郡柳津町、本巣郡北方町も議会、住民に賛否両論があり、岐南町議会の判断が反対派の動きに拍車を掛けるのは必至だ。

 離脱ムードに流されることなく、残された各町と住民は「なぜ今合併なのか。将来、どのようなまちにしたいのか」という原点に立ち返るべきだ。地域エゴや負担増といった問題にとらわれるのではなく、時代の変化に対応できる自治体づくりを考えねばならない。

 (瀬見井芳信)

《岐阜新聞5月13日付朝刊総合面》

岐南町民、憤りと歓迎/「民意無視」「産廃影響」

 合併協離脱をめぐり住民の思いに温度差−。十二日に開かれた羽島郡岐南町議会の臨時会で「岐阜広域合併協議会からの離脱を求める請願」が採択され、同町の合併協離脱が決定的となった。岐阜市との合併を選択した昨年五月の住民投票結果を覆す“方向転換”。町内からは、請願採択を歓迎する声と憤りの声が交錯し、住民投票で得られた多くの民意がかすんできた。

 仲間とともに請願のための署名活動をした武山廣さん(70)らは、「われわれの活動が実った。自治体の規模が大きすぎては地域の要望が届かない。事業所税など住民負担が増えるのも納得できなかった」と話した。

 請願採択を知った会社員男性(50)は「最近までは岐阜市との合併に賛成だったが、政令指定都市構想が遠ざかり、産廃問題が明るみになった現状では合併に賛成し難い。町議会の判断も仕方ない」と、羽島市の離脱や産廃不法投棄事件が合併へのマイナス材料になったことをうかがわせた。

 一方、岐阜市との合併に賛成する会社役員の男性(62)は「岐阜市との合併を望む住民投票の民意を何だと思っているのか。町や議会は町民の多くの意思を無視して、目先のことや保身を考える人たちばかりなのか…。情けなくてしょうがない」と憤る。別の男性も「住民投票結果を無視するなんて議員の資質を疑う」と、町議会への不信を募らせた。

 伏屋征勝町長は「事実上、すべて白紙になった。当面は町単独で行政運営をすることになる」とコメント。「合併協議の中で、『当面現行通り』や『合併後調整』などの事項があり、町民が将来に不安を抱えていたことが、請願採択の要因の一つだと考える」と述べた。

(写真)岐阜広域合併協議会からの離脱を求める請願を採択した岐南町議会。他町の動向が注目される=羽島郡岐南町、町役場議場

《岐阜新聞5月13日付朝刊社会面》


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県内の児童生徒、基礎学力は十分/小5から中2、県教委が調査

 県教育委員会は十二日、県内の小学校五年生から中学校二年生を対象に今年二月に初めて実施した学習状況調査の結果を公表した。全体では各教科とも読み、書きなどの基礎的な学力は身に付いているが、筋道を立てて考える思考力や表現力が不十分だった。

 この学力調査は、週五日制などで児童、生徒の学力低下を心配する親が多く、一人ひとりの学習状況を把握し、きめ細かな指導に役立てるため、県独自で県内の国公立、私立すべての学校を対象に実施。市町村教委単独で行っている学校などを除き、小学校で95%の三百七十七校が国語、社会、算数、理科の四教科、中学校で90%の百八十三校が国語、社会、数学、理科、英語の五教科を調査した。

 その結果、正答率70%を上回る問題は、全体で70%を占め、逆に正答率60%を下回る問題は全体の16%にすぎなかった。

 正答率が高かったのは、漢字を正しく読む力や地名、歴史上の人物名、簡単な四則計算、図形の性質、英語の聞き取りや読み取りなど。

 一方、低かったのは物語の粗筋を考えながら読む力、知識や理解を基に理由や背景を考える力、複数の式を用いて考察する力、まとまりのある英文を書く力、表現力など。

 県教委は「基礎的・基本的な知識や技術は十分身に付いている。今後は総合的に判断する力や状況に応じて適切に表現する力などを向上させる必要があり、指導法や授業の改善に役立てていきたい」と話している。

 県内すべての学校には、調査結果の分析と指導方法の改善を通知。各校は「学習状況診断票」や「個人カルテ」を各児童生徒に配布している。

《岐阜新聞5月13日付朝刊社会面》


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木曽川水系、徳山ダム導水路調査/国土審/新開発計画案に盛る

 国土交通省の国土審議会水資源開発分科会木曽川部会(部会長・虫明功臣福島大教授)は十二日、岐阜、愛知、三重、長野の四県を対象とした二○一五年度までの新しい木曽川水系水資源開発基本計画案をまとめた。

 計画案は、水道や工業用の都市用水は一秒当たり六八・九六立方メートルの一五年度の需要想定を64%上回る一一三・一一立方メートルを確保するとしたほか、「開発した水を効率的に利用する調査を推進」し、揖斐川の徳山ダム(揖斐郡藤橋村)の水を木曽川に流す導水路の調査を初めて盛り込んだ。五月下旬の分科会で決定し、関係各県知事の意見聴取などの手続きを経て六月の閣議決定を目指す。

 計画作成段階では二○○○年度の都市用水の使用実績を受け、一五年度の都市用水の需要見通しを九四・四立方メートルから大幅に下方修正した。現行計画には「水余りで計画が過大」との批判が出ていた。

 これに対し新計画案は、一九九四年の大渇水と同じ雨量なら五一・四二立方メートル、この二十年で二番目の規模の渇水と同じ雨量では七七・三三立方メートルしか供給できないとして、安定した都市用水の供給には徳山ダムなどの整備を継続する考えを示している。

 徳山ダムについては、洪水調整の治水容量のほかに、異常渇水時の緊急水補給を含めた岐阜、愛知県の安定的な用水確保を図るとともに、下流の横山ダムのかんがい用水を代替する。同省は水道及び工業用水の都市用水として岐阜に一秒当たり二・六立方メートル、愛知県内に同四・〇立方メートル、計六・六立方メートルを供給するとしている。

《岐阜新聞5月13日付朝刊総合面》


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採って食べて、山の幸楽しんで/郡上市でフェス/都市住民らにアピール

 “山菜づくし”に都市住民も舌鼓−。遊休農地解消や鳥獣害対策で山菜栽培を推進している郡上市内で十二日、都市住民に山菜を紹介する「山菜フェスティバル in 郡上」が開かれた。県内外の約五十人が山菜採りや料理講習を通し、旬の味覚を満喫した。

 県中濃地域郡上農業改良普及センターなどが進める「山菜王国郡上づくり事業」の一環。同事業は猿やイノシシが好んで食べない山菜の栽培を促進するもので、今回、需要開拓を図ろうと、フェスティバルを実施。

 この日は、大阪、京都府などからも参加があり、同市白鳥町のしらおスキー場で行われた。参加者はゲレンデを歩きながら、ワラビ、タラノメ、コシアブラ、フキ、ウドなどを摘み取り、袋に詰めて持ち帰った。

 この後、地元の民宿のおかみさんらが、あく抜きや料理法を説明。参加者は、おかみさんが作った山菜のてんぷらや「アズキナのごまあえ」「ウドのきんぴら」などを試食、山菜談義に花を咲かせていた。

 (松尾法尋)

(写真)ずらり並んだ“山菜グルメ”にはしを伸ばす参加者=郡上市白鳥町、しらおスキー場

《岐阜新聞5月13日付朝刊県内版》


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NIE実践校、県内は8校決まる/継続5校、新たに岐阜市の3校

 日本新聞教育文化財団は十二日、東京・日本新聞協会で開いた博物館・NIE委員会で、二〇〇四年度のNIE実践校(第一次)を決定した。今回の実践校は四十都道府県の二百八十三校で、県内からは八校が決まった。

 県内で、実践校に選ばれたのは前年度からの継続校の大垣市立静里小、羽島市立羽島中、郡上市立郡南中、県立各務原高、県立羽島北高の五校と、本年度からの新規校の岐阜市立京町小、同長良東小、同青山中の三校。

 新聞を教育に取り入れる同財団のNIE推進事業は、全国の小、中、高校の児童・生徒に、新聞に慣れ親しんでもらうことを目的に一九九六年度から行われている。

 実践校の指定期間は原則として二年。実践校には授業などで新聞を自由に活用してもらうため、新聞の購読料を財団から補助するほか、新聞記者が取材体験などを児童・生徒に説明するオリエンテーション、新聞社見学、教師向けのセミナーの開催などの事業を展開。

 このほか、年一回、NIE実践教師や新聞関係者を対象にしたNIE全国大会を開いている。

 なお、第二次の実践校は七月七日に決定される。

《岐阜新聞5月13日付朝刊県内版》


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立派になって患者支えたい/高校生29人学ぶ/県立岐阜病院で業務体験

 看護の日の十二日、岐阜市野一色の県立岐阜病院は「2004ふれあい介護体験」を開き、看護師を目指す県内の高校生二十九人が血圧測定など看護業務を体験した。

 今年で十四回目。昨年までは夏休みに開いていたため中学生を対象にしていたが、今年は看護の日に合わせた。

 富田高、揖斐高などの二、三年生が参加。車いすに乗ったり、人工呼吸法に挑戦したほか、患者に贈る絵を描いたり、病棟で患者と交流もした。体験を通して、同病院の先輩看護師からは患者と接する時の心構え、仕事に掛ける情熱を学んだ。

 大垣南高三年畠山恵里さん(18)=海津郡平田町=は「体験をして、より看護師になりたいという思いが強くなりました」と話していた。

 看護体験には、梶原拓知事も視察で訪問。また、梶原知事は県立岐阜、多治見、下呂温泉の三病院で五月から始まった血液の総合的な検査「血液すこやか健診」も体験し、血液が流れる様子をモニターで確認しながら、同健診の効果をPRした。

(写真)血圧測定を体験する高校生ら=岐阜市野一色、県立岐阜病院

《岐阜新聞5月13日付朝刊県内版》


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アイガモ農法で栽培の米使用/「発芽玄米せんべい」開発/神戸町の寸田製菓

 寸田製菓(本社神戸町加納、寸田秀範社長)は十二日、アイガモ稲作栽培による玄米を100%使用した「発芽玄米せんべい」を開発した、と発表した。消費者の健康志向が高まっていることから、栄養価が高く、安全にこだわった米菓子を作った。東京や大阪、名古屋の百貨店や専門店などを中心に販売し、新製品で二〇〇五年度に四千万−五千万円の売り上げを目標にしている。

 同栽培は、アイガモを水田に放ち、農薬や化学肥料を全く使用しない米の栽培方法。消費者の健康志向に合わせ、原料には、地元の大垣市内で同栽培を行っている大垣あいがも稲作研究会の玄米を使用した。加工方法も、同社と岐阜大学農学部が共同研究し、栄養価をできるだけ損なわない加熱処理方法や、玄米を発芽させるための独自技術を開発した。

 新製品は、発芽玄米に食塩を加えて加熱、プレスし、沖縄産黒砂糖で味付けして作る。丸型で一口サイズ。価格は十八枚入りで五百二十五円。

 併せて、発芽玄米粉をチーズや納豆に混ぜて焼き上げたせんべいや、発芽玄米を練り込んだあられも作った。

 新発売を記念して、同日、大垣市内の二十七保育所に発芽玄米せんべい三千五百個を贈った。園児たちのおやつとして配られる。

 (井上吉博)

(写真)寸田製菓が開発したアイガモ稲作栽培による発芽玄米せんべい

《岐阜新聞5月13日付朝刊西濃地域版》


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伝統の棚田で児童ら田植え/恵那市・中野方小/収穫の秋、心待ち

 四百年の歴史を持つ恵那市中野方町の坂折棚田で十二日、同町の中野方小学校の五、六年生約三十人が田植えを体験した。

 坂折棚田は全国棚田百選にも選ばれ、昨年九月の全国棚田サミットを通して全国にその名をアピールした。

 この日、児童たちは坂折棚田保存会長の鈴村直さん(67)らの指導を受け、ミネアサヒの苗を植えていった。秋には約三百キロが収穫できる見込みという。

 鈴村さんは「日本の食料自給率は約40%で輸入に頼っている。世界には飢えている人もいる。辺ぴな所でも米を育て、米作りを伝えていきたい」と話していた。

 (馬田泰州)

(写真)棚田で田植えを体験する中野方小学校の児童たち=恵那市中野方町、坂折棚田

《岐阜新聞5月13日付朝刊東濃地域版》


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[5月13日経済ニュース]

執行役員制を導入/太平洋工業/11人就任、役割より明確化

 太平洋工業は今期(二〇〇五年三月期)から執行役員制度を導入する。十二日発表した役員人事では、退任する取締役六人のうち四人と幹部社員ら四人が執行役員に就任。さらに浅井重雄専務と佐野泰正常務の役付けが外れて取締役専務執行役員となり、吉田守孝取締役が常務執行役員も兼ねる。執行役員は取締役を含め、計十一人の体制で臨む。

 このほか、五年間空席だった会長に近藤静間副社長が代表権を外して昇格し、退任取締役のうち残る二人は砥上忠久専務が顧問に、信田勝弘取締役が監査役に就く。六月十九日開催予定の株主総会とその後の取締役会で正式に決まる。

 これまでは十一人の取締役が戦略担当と実効担当に分かれて経営に当たってきたが、執行役員制度導入で意志決定と業務執行をより明確にする。商法上の取締役は、唯一代表権を持つ小川信也社長をはじめ五人となる。

 退任取締役で執行役員に就くのは吉川逸雄、畑康則、林善明、森政己の四氏で、いずれも常務執行役員。さらに米国子会社社長の田中次陸氏も現職を兼務しながら常務執行役員となる。ほかに鈴木千可司理事・制御機器事業部副事業部長、溝部謙二タイヤバルブ事業部営業部部長、石塚隆行プレス樹脂事業部営業部部長が各事業部副事業部長として執行役員に就任する。

 監査役は常勤の木村晃治氏と社外の杉山幹夫氏(補欠監査役予定)が退任。代わって共栄大教授の間仁田幸雄氏を社外監査役に迎える。

《岐阜新聞5月13日付朝刊経済面》


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