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徳山ダム受注業者、用地補償に絡み
肩代わり別に1150万円
機構、上積み発覚恐れ
岐阜県揖斐川町(旧徳山村−藤橋村)の徳山ダムの用地取得に絡み、水資源機構(さいたま市)が地権者に協力金として支払った千五百万円を、工事を受注した共同企業体(JV)に肩代わりさせていた問題で、これとは別の補償交渉でも関係業者に千百五十万円を肩代わりさせていたことが一日、分かった。同機構は「事業全体を調査中なのでコメントできない」としているが、国土交通省河川局は前回の問題が明らかになった直後「他に同様のことがあるとは認識していない」として調査に消極的姿勢を示していただけに、相次ぐ上積み肩代わり発覚で、住民からは事業への不信感が募っている。
新たな千百五十万円は、旧徳山村徳山地区の水没予定地にある杉林にかかわる費用と、小学校敷地の一部の土地代。
地区関係者によると、この金は二〇〇一年七月、同機構(当時は水資源開発公団)からではなく、関連工事を受注していた同県揖斐川町内の建設会社から、区民だった人たちの組織「徳山区」の口座に振り込まれて約百四十世帯に分配された。
徳山区の同年度決算書には、収入千百五十万円の内容として「クツ尾 杉の木分」としか記されていないが、総会では、このうち約六百七十万円は小学校敷地の補償金で、残りが杉の買い取り代金、との趣旨の報告があったという。
水没予定地の立ち木の補償で同機構は「成木になる前の木には将来、商品価値が出る」と、伐採による損失分(伐採補償)は負担した。立ち木については買い取る義務はなく、所有者が業者に売却するのが通例だった。
しかし、この関係者は、建設会社から振り込まれた金について「業者が成木を買い取った代金という名目で計上したが、実際は伐採補償の上積みの性格だった。機構の伐採補償額が十分ではなかった」と明かす。機構は成木前の杉を地権者だけの所有として補償額を算出したが、防災のために区民も植えており、「住民全体の財産だ」との異論が噴出、上積みを迫った。
小学校の敷地は所有権が当初の地主から区に移っていたものの機構側が地主だけに補償金を支払っていたため、区民から異論が出た。
機構側は補償を二重払いすると不手際になると考え、表面化するのを避けるために業者に肩代わりさせた可能性がある。
同機構本社広報課は「(JV肩代わり問題と)似た件があるかどうか、関係資料を調べたり、当時の職員に聴いたりしている。旧村民の権利関係は非常に複雑で時間がかかる。全体を調べて明らかになったら公表したい」とし、監督官庁の国土交通省水資源政策課は「総点検中であり、注視する。結果が出たら内容を十分に吟味したい」としている。
当時と現在の二人の区長はともに「杉のことは知らない」と話している。
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