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随意契約665件、204億円
国交省・旧水資源公団がOB役員法人に
国土交通省と旧水資源開発公団(現・水資源機構)が一九九八年度から五年間に、同省OBらが役員に就いている同省所管の財団法人「ダム水源地環境整備センター」(東京)に対し、ダムなどの建設にかかわる環境調査など六百六十五件、計約二百四億円を随意契約で発注していたことが分かった。国交省は一連の契約を認め「専門知識があるのは同センターだけ。随意で妥当」としているが、自然保護団体は「同じ調査ができるコンサルタントはたくさんある」と批判している。
徳山ダム(岐阜県藤橋村)建設に反対する市民団体が、国会議員を通じて国交省にまとめさせた五年分の資料によると、同省はすべて随意契約で五百四十六件、約百七十億円を同センターに発注。五千万円以上の契約は約九十件に上り、最高額は九八年度に徳島県の吉野川第十堰(せき)の環境影響評価(アセスメント)の方法書作成などを発注した一億四千五百万円だった。
同公団の随意契約は百十九件、約三十四億円。五千万円以上が約二十件あり、徳山ダムに関しては五年間で十一件、約六億六千万円あった。二〇〇一年度には、同ダムの環境保全措置やイヌワシなどの猛禽(もうきん)類調査などを約一億七千二百万円で発注していた。
同省河川局は「ダムの構造や性質などを理解しているのは環境整備センターしかなく、問題ない。一億円を超える契約もあるが、分割するとかえって不経済になる」と説明。同センター総務部は「環境分野に必要な動植物などの幅広い知識を持っており、要望に沿った調査をしていると自負している」としている。
しかし、環境調査も手掛ける日本自然保護協会の横山隆一・常務理事は「同じ調査ができるコンサルタントはたくさんある。契約は(技術提案を受けて業者を選ぶ)プロポーザル方式に変えるべきだ」と指摘している。
国などの業務発注は一般競争入札が原則で、随意契約は「競争相手がいない場合や緊急時などの特例措置」(財務省)とされている。
◆ダム水源地環境整備センター 1987年12月に建設省(現国土交通省)所管の財団法人として設立。ダム湖の生態環境調査、水質保全や堆砂対策、周辺環境整備の計画検討などを行う。職員数65人。役員15人のうち、理事長などに国交省や農林水産省の幹部OBらが7人いるほか、大学教授らに交じって複数の大手ゼネコン関係者らが名を連ねる。東京都千代田区の本部のほか、岐阜分室(岐阜市)がある。
◆ダム建設に伴う環境調査 徳山ダム事業など環境に大きな影響を及ぼす恐れがある一定規模以上の大型公共事業では、法律で環境影響評価を必ず実施する。周辺環境の影響に最大限配慮することが定められ、大気や水、動植物、生態系などの環境調査が必要となる。
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