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社会 |
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県と村がお墨付き
徳山ダム、唯一例外の村内移転
徳山ダム=岐阜県揖斐川町(徳山村−藤橋村)=建設に伴い、1世帯だけが旧水資源開発公団(現水資源機構)から土地を取得、村内移転を容認された問題で、移転容認の文書締結に県と旧藤橋村の関係者が立ち会い、上水道などの供給確保を確約していたことが分かった。自治体も関与して村内移転にお墨付きを与えていたわけで、ふるさとに思いを残して離村した旧村民の間に波紋が広がりそうだ。
関係者などによると、文書が締結されたのは、旧徳山村廃村の翌年の1988年。立会人として県の担当課長と旧藤橋村長が名を連ねている。宅地は国道417号沿いの旧村内の約500平方メートルで、自治体側が水道、電気、電話などのライフライン確保に保証、協力するとしている。
同機構によると、一般の人を対象とした補償交渉で自治体が立ち会うのは極めて異例という。
廃村時の村民との補償交渉では、同公団は「村に残っても行政サービスやインフラ整備は期待できない」と村外移転を説得した。しかし、この世帯だけは強く残村を望み、公団は宅地を提供。今年2月に旧村民の指摘で村内移転が明るみに出た。
反響は大きく、旧村民グループが「(村外)移転住民の立場をよく考えてほしい」と同機構に文書を提出、同機構は「不公正な補償をしたわけではないが、心情的には申し訳ない」と遺憾の意を示した。
唯一の例外となった世帯の男性は「当初から徳山に住みたいと思い続けていただけ。ほかの村民と違い(村外移転の場合と同額の)補償金はもらっていない。土地はあってもライフラインがなければ宅地とはいえないので、自治体による保証は当然だ」と話している。
ただ、現在宅地は整地されているものの、旧村民の反発などもあって家は建っていない。
県は「村内移転の補完的な役割として立会人を務めた」と関与を認めている。
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