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【広域】
徳山ダム訴訟、原告の控訴棄却
「水需要予測は合理的」

2審も敗訴となり、厳しい表情で裁判所を出る原告ら=名古屋市中区で |
名古屋高裁で6日言い渡された徳山ダム訴訟の控訴審判決。1998年に国がダム事業を認定した際の水需要予測を「合理的に説明できる」と判断し、市民団体が求めた認定取り消しの訴えを退けた。同じ判断だった1審判決後に水需要予測が大幅に下方修正された現実も踏まえて「水需要はなかった」と訴え続けた市民らは「司法は行政をチェックすべきなのに」と納得しない。被告の国や、事業に協力する県など地元自治体は「妥当な判決」と受け止めた。
工事はほとんど完成し、今秋にもダムに水を満たす試験湛水(たんすい)が始まる。原告の近藤ゆり子さん(57)は「裁判所は行政をチェックするという司法の役割を果たしていない」と憤った。
原告団代表の上田武夫さん(75)は、環境への負荷を理由にダム計画を批判してきて、判決に納得できない。「イヌワシやクマタカなどの希少動植物を保護する仕組みができていない。湛水してはいけない」。
原告を支援する岐阜大地域科学部の富樫幸一助教授は「水需要は減り続けている。ダムは必要ない」との指摘を繰り返した。「大量に水を消費してきた繊維産業の衰退や、企業努力で今後も減る」と話した。
一方、被告側の国土交通省中部地方整備局は「徳山ダムの必要性が認められた」と判決を評価。「渇水期でのダムの役割は大きい」と必要性を主張。「ダムの水を広い地域で利用するための導水路計画を早期に完成させたい」とコメントした。
ダム下流域の自治体でつくる「揖斐川流域住民の生命と生活を守る市町連合会」会長の小川敏大垣市長は「洪水の危険にさらされている揖斐川流域住民にとって、徳山ダムは治水安全度向上のために大切なダムです」と判決を好意的に受け止めた。大垣市の浸水被害者でつくる「荒崎地区から水害をなくす会」の安保千晴会長(66)は「ダムができると、荒崎の水害がなくなると県から説明されているので、1日も早くダムが完成してほしい」と話した。
(坪井千隼、長田真由美)
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